UNCOVERED: FINAL FANTASY XV後の田畑氏・野末氏・大藤氏を直撃!

公開日時:2016-04-05 00:00:00

 現地時間2016年3月30日(日本時間3月31日)、アメリカ・ロサンゼルスにて開催された“UNCOVERED: FINAL FANTASY XV”。後日、『ファイナルファンタジーXV』ディレクターの田畑端氏と、『キングスグレイブ FFXV』ディレクターの野末武志氏、そして『ブラザーフッド FFXV』を担当し、宣伝プロデューサーとして配信番組“アクティブ・タイム・レポート”にも出演している大藤昭夫氏に、イベントの反響を受けての感想などをうかがった。

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▲田畑端氏

▲野末武志氏

▲大藤昭夫氏

着陸できないと……“ボカン!”

――各国のメディアの取材を受けて、手応えを感じたのではないでしょうか。

田畑 オブラートに包まずメディアの反応を言うなら、「『FF』は、きちんとエンタメになったんだね」、そういうコメントを多くもらいました(笑)。今回の発表内容や取り組みで、そういう意識になったみたいで。また彼らにとって『FF』は、“『VII』”と“その他”の2種類。それだけの差があるんだと、多くの方からのコメントで改めて感じました。

――発表会で、一気に熱量が上がった気がします。全貌が見えて、「これは期待していい」と思えたのではないかなと。

田畑 それで興味をもって、いろいろと聞きに来てくれたんでしょうね。本当にたくさんのメディアが取材してくれました。

――メディアだけでなくユーザーへの影響も大きかったですね。限定版の『アルティメット コレクターズ エディション』、瞬殺でした。

田畑 ああ……。あれは正直に言うと、フィギュアが物理的に30000個までしか作れなかったんです。制作して船便で各地域で送るのですが、ヨーロッパまで送るとなると3ヵ月かかるらしくて。お店に並べるまでの期日を考えると、30000が限界でした。瞬殺と聞いたときには、「頭いてぇー!」って感じでしたよ。

――想定以上の反響だった?

田畑 もしこの取り組みがしっかりと伝わって、限定版の価値を認めてもらえるのなら、コアなファンの人たちは手に入れようとしてくれるだろうなと思ってはいました。とはいえ本当に30000個しか作れなくて……申し訳ないです。何より、いままで10年とか長らく待ってくれていた人が買えていないのが心苦しい。そういう方に対して何かできないかは検討します。

――それだけ期待値が一瞬で高まったということなんでしょうね。本当に歓声がすごかった。とくにクルマが空を飛ぶところとか(笑)。

田畑 いちばん歓声が大きかったですね(笑)。あれを少しだけお見せしたのは、ユーザーへのコミットです。これまで飛空艇の実装にについて話をしてきましたが、こういう形になったから期待してね、という。

――あれが『FFXV』の飛空艇なんですね。

田畑 “ザ・飛空艇”を求める方もいると思いますが、『FFXV』ではずっといっしょに旅をしてきたクルマで空の旅もすべきだと考えました。

――もちろん、飛べるようになることが、遊びにつながっているんですよね。

田畑 はい。移動しやすくなるだけでなく、飛べるようになってからでないと行けない場所もあります。ただ、そこまで数はないです。当初は飛空艇自体をDLCで実装するとお伝えしていましたが、せっかく本編に入ったので、この部分での遊びが広がるように発売後の展開も継続して考えたいですね。ちなみに、飛空艇って垂直にあがって垂直に着陸するイメージですけど、今回は形状としては飛行機なので、滑走して飛び立ち、着陸時は空中で体勢を制御するというスリリングな体験をしてもらいます。

――それって、着陸できないと……?

田畑 “ボカン!”です(笑)。

野末 なので、着陸させるだけで拍手が起きます(笑)。

――ええ~!?(笑)

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夏以降実施のユーザー参加型イベントで『FFXV』に触れる!

――では改めて。発表会で判明した“FINAL FANTASY XV UNIVERSE”プロジェクトについて、ユーザーからの反響をどうとらえているかをお聞かせください。

野末 通信環境が悪くて、どういった反響があったかまだまったく見られていないのですが(苦笑)、会場で皆さんが喜んでくれて、その様子を目の当たりにできたのはすごく励みになりましたね。自信がなくはないんですけど、お披露目するまでどういう反応をされるかはわからないじゃないですか。そういう不安はなくなり、しっかり作りきって、楽しめるものをお届けしたいと思えました。

大藤 『ブラザーフッド FFXV』は、あの瞬間、あの歓声を聞いて、「受け入れてくれたんだな」と涙ぐんじゃいました……。僕は今日、Webでいろいろな意見を見ていたんです。ゲームに興味がなかった人が、アニメであることや声優さんをきっかけに、『FFXV』への興味をもってくれて、それが予約やトレーラーの視聴につながっている。これまでと同じパブをやっていたら、きっと素通りしてしまったであろう人が、興味をもってくれたきっかけになった。これが、“FINAL FANTASY XV UNIVERSE”の意義であり意味なんだと実感しました。

――手応えありですね。『キングスグレイブ FFXV』は、アーロン・ポールなどの有名俳優を起用していますが、どういった基準で選んだのでしょうか。

野末 それぞれのキャラクターを引き立ててくれて、かつ演技がうまい人を選びました。

――『FFXV』と『キングスグレイブ FFXV』で、同じキャラクターでもボイスキャストは異なるというお話がありましたが?

田畑 はい。『キングスグレイブ FFXV』は、スタートする際に“すべてのリミットを取っ払った取り組み”にしたんです。最高の作品にするために、ゲーム機の性能にも左右されず、父親とその周辺の物語を最高の環境で描くというのを純度100%でやる。そこで、『キングスグレイブ FFXV』と『FFXV』の声優を共通してキャスティングしようとすると、拘束時間や費用、スケジュールなどの調整がきびしくなる。そうすると、最高の映像作品を目指す『キングスグレイブ FFXV』のキャストに影響が出てきてしまうので、そこは切り離すことにしたんです。映像とゲーム、それぞれで“最高”を目指しているがゆえの決断です。

――なるほど。それぞれの“最高”のために、あえて両作品で統一をとらないと。

田畑 レギスのデザインを『キングスグレイブ FFXV』側で変更し、後から『FFXV』もそれに揃えたということはありました。これは、『キングスグレイブ FFXV』を観てから『FFXV』を始めると、オープニングでレギスが出てくるため違和感が大きくて、物語に没入するための阻害になると考えたからです。

――違和感はなるべく与えないようにしつつ、それぞれで個性もあるわけですね。『キングスグレイブ FFXV』と、『ブラザーフッド FFXV』は、同じ映像コンテンツという部分で、プロモーションの連携などは?

大藤 両作品ともアニプレックスさんが販売するので、その意味で組み合わせての展開はあります。2作品を収録した『フィルムコレクションボックス』というセットの販売などですね。

――ゲームオンリーでは難しいプロモーションや、独自の販売戦略が立てられるわけですね。

大藤 『キングスグレイブ FFXV』と『ブラザーフッド FFXV』だけでなく、『FFXV』本編、『プラチナデモ FFXV』でも、ノクトの幼少期の描写が出てきてリンク感が楽しめます。そうした仕掛けでゲームも映像も各コンテンツが一体感を得られますから、発売後のスピンオフとして出すのではなく、最初から全作品がリンクした状態から始まるのはとてもいいですね。

――すでに配信中の『ブラザーフッド FFXV』は、10分ほどのショートアニメという作品として、気をつけていることはありますか?

大藤 公開中のエピソード1は、激しいバトルシーンがありますが、そのほかのお話はアットホームだったりもして。『FFXV』の世界の中でヒューマンドラマに焦点をあて、“日常を描く”ということに気を配っています。本編では物語を展開させていくにあたって表現しきれない部分、 “友情”をテーマに、そこをじっくり描いていこうと。

――こちらも配信中の『プラチナデモ FFXV』は、HDで世界を体験させることに重きを置いている、というお話でしたが、今後別の視点……たとえば、フレームレートやバトルにフォーカスしたテックデモのようなものを出したりは?

田畑 それは予定にないです。今回は、ゲームエンジンの実装段階として解像度についていろいろと試している段階だったので、それをデモに適用させただけですね。今後もエンジンは最適化を進めますし、バトルは製品版でしっかり体験してもらえればと。

大藤 今後、夏以降に、ユーザー参加型のイベントを全世界で予定しているので、そこで製品版を遊んでもらったりはできます。日本では東京ゲームショウなどもありますしね。

田畑 そうだね。発売まで触る機会がないということは、絶対ありません。コアな遊びの部分を確かめたい方は、そういう機会を利用してもらえたらと思います。

楽曲へのこだわり――“下村さん・ミーツ・ハリウッド”!

――今回、発表会には下村さんもいらっしゃっていました。下村さんはどれくらいの曲を担当しているのでしょうか。

田畑 『FFXV』は、8~9割が下村さんです。下村さんにやれるだけやってもらっています。ただ、多くのバリエーションが必要になる場面、たとえばドライブ中にかけられる曲などは、ほかの方にもお願いしていて、そこにこれまでの『FF』シリーズの楽曲も含まれます。あとは、特定の場所の特色を押し出すとか、あえて方向性を変えるところ、アレンジについては、フレキシブルにほかの人に担当してもらっていたりもします。

野末 『キングスグレイブ FFXV』では、テーマ曲や『FFXV』との連携が強い部分を担当してもらっています。『キングスグレイブ FFXV』における楽曲のテーマは、“下村さん・ミーツ・ハリウッド”なんですよ。下村さんの作曲後、ハリウッドのアレンジャーの方に劇中に合うよう調整してもらっています。そのほかの曲はハリウッドの作曲家の方にお願いしています。カチッと下村さんがテーマ曲を作っていて、劇中のトーンの方向性を示してもらっているんです。

――“下村さん・ミーツ・ハリウッド”、カッコいい! 『FFXV』にも、曲のテーマがあるのでしょうか。

田畑 『FFXV』は、“親子の絆”、“仲間との友情”といったゲーム本編のテーマに基づきます。あとはキャラクターを表現するために、それぞれの個性やイメージを曲にしてもらっていますね。

――『ブラザーフッド FFXV』は?

大藤 アニメ制作側で作ってもらっています。ただ、1曲だけ下村さんの曲がモチーフのオリジナル曲がありまして。エピソード1のトレーラーに使っている、出だしが『FFXV』のバトル曲になっている曲です。

――曲といえば、『FFXV』では『スタンド・バイ・ミー』をテーマ曲に採用していますよね。会場だとちょっと「ふふっ」という感じの暖かい笑いが起きて、その後、Florence+the Machine(フローレンス・アンド・ザ・マシーン。以下、フローレンス)が歌うことが明かされてから「おおー!」という空気になっていましたが、あれは……?

田畑 『スタンド・バイ・ミー』は“昔の曲”というイメージがあるんだと思います。そこが、フローレンスによってモダンなものになってくれると期待しています。日本人の感覚としては、「いいんじゃない」という人と、「やめてほしい」という人に分かれるかな。いやだという人は、『スタンド・バイ・ミー』は映画のイメージが強いから、それを『FF』に持ってくることに違和感を覚えているのだろうという気がします。ただ映画が公開されてから時間もたっていて、フローレンスという現代のアーティストがオリジナルとは違う視点で作りあげているので、徐々に受け入れてくれると信じています。違和感なく入ってこれる人たちについては、「自分の知っている曲が起用されている」ことが、興味を持ってもらえる入り口のひとつになるんじゃないかなと。

大藤 そもそも、あまり歌詞の意味が理解されていないというのもあると思いますね。

――確かに、知らないですね。映画のイメージが強いです。

田畑 あれは、もとはラブソングですよね。とくにジョン・レノンがカバーしているバージョンは、オノ・ヨーコにあてた“ストレートなラブソング”という印象が強い。今回、フローレンスには、「ラブソングの『スタンド・バイ・ミー』じゃなく、主人公のノクトが仲間や家族といった大切な人たちに抱いている、でも伝えられないでいる気持ちを表現してほしい」と言いました。ノクトが素直に言えない気持ちを、フローレンスに表現してもらったんです。だから、この曲が流れるシチュエーションは、ノクトの気持ちを代弁するシーン。祈りにも近い、みんなに捧げるメッセージになっているんです。

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