プレイステーション5、Xbox Series X|S、PCで発売が予定されている、カプコンの『ドラゴンズドグマ 2』。2012年に発売された第1作目を皮切りに、2013年に拡張版の『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』、2015年にはオンラインプレイ専用の『ドラゴンズドグマ オンライン』が登場するなど、国内のみならずワールドワイドで人気を博しているシリーズだ。

 本稿では、そんな『ドラゴンズドグマ 2』のプロデューサーを務める平林良章氏と、ディレクターを務める伊津野英昭氏のふたりにインタビューを行った。開発の経緯や見どころ、試遊プレイで気になったことなど、両氏にさまざまなことを聞いた。

 なお、試遊リポートも掲載しているので、併せてチェックしてほしい。

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平林良章氏(ひらばやし よしあき)

『ドラゴンズドグマ 2』プロデューサー

伊津野英昭氏(いつの ひであき)

『ドラゴンズドグマ 2』ディレクター

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前作でやり残したことを全部実現すべく生まれた正統続編

――1作目より約10年の時を経ての正統続編となりますが、本作『ドラゴンズドグマ 2』を制作するにいたった経緯やきっかけなどをお聞かせください。

平林弊社にとって、『ドラゴンズドグマ』はとても大型のタイトルです。いわゆる大作の制作には、十分な数のチームメンバーを揃えたり、ディレクターが注力できる時間が必要になります。

 そういった意味で、今回は『ドラゴンズドグマ 2』を作るのに十分な時間と力を確保できた、というところが開発に踏み切った理由として非常に大きいですね。

伊津野前作を作り終えた際に、やり残したことがいっぱいあったんです。当時は約10年前、我々としては初めてのオープンワールド作品なうえに、技術的な問題もあり、やりたいけどやれなかったことがたくさんありました。

 ですから、今回はそれを全部やってやろうと。優れたREエンジン(※)と、現在の技術を使えば、これくらいのことができるのでは……と話も固まってきて。先ほどの人員や時間の話と、技術的な話を含め、さまざまな要素が高まってきたタイミングだったので、開発にいたったという感じですね。

※カプコン独自の開発エンジン。

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――前作はプレイステーション3時代でしたし、REエンジンもありませんでしたからね。ハード性能や技術が、当時やりたかったことに追い付いてきたと。

伊津野(REエンジンの)表現的にはかなり洗練されてきています。『バイオハザード』でリアルな表現を、『デビル メイ クライ』で現実にはないようなエフェクトの表現ができるようになった。そして今回、オープンワールドの仕組みを作りながら、REエンジン自体もアップデートして、どんどん完成に近付いていっている状態ですね。今や、もう何でも作れるエンジンになっていますよ。

平林今回のプロジェクトにあたり、オープンワールド型のゲームを作るためのツールもできていっていますね。

――なるほど。プロジェクトそのものが動き出したのはいつごろなのでしょうか?

伊津野デビル メイ クライ 5』が発売された後、『デビル メイ クライ 5 Special Edition』を作りながら同時にスタートした形です。

平林伊津野が『ドラゴンズドグマ 2』にしっかりと向き合えるようになったのが、そのタイミングだったという感じです。

――2022年の6月に実施された“ドラゴンズドグマ10周年ファンミーティング”にて、開発中であることが発表されましたね。

伊津野ありましたね(笑)。実際のところ、あのときはもうかなり開発が進んでいる段階でしたが。

平林これから作りますというよりは「もう作ってますよ」でした。

――今年の6月には第1報が発表されましたが、ファンからの反響はいかがでしたか?

伊津野待っていていただいた方にはまず「本当にお待たせしました」とお伝えしたいです。反響としては“いい意味で変わっていない”という声が多かったですね。

 僕らとしては、前作で大切にしていたところは今回も同じく大切にする、というのが最優先事項としてありましたので、それが第1報の情報でファンの皆さんに伝わっていたのは非常にうれしかったです。

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――我々もTGSバージョンを試遊させていただきましたが、プレイの感触がまさしく『ドラゴンズドグマ』だなぁと。

伊津野じつのところ、前作と作る順番が同じなんですよ。当時は『デビル メイ クライ 4』を作り、そのときに得たアクション系のノウハウを使ってオープンワールドの『ドラゴンズドグマ』を制作。今回は『デビル メイ クライ 5』を作り、新たなアクションノウハウを詰め込みつつ『ドラゴンズドグマ 2』を制作、という。

 制作過程が似ているので、ゲーム全体のテイストも、いい感じで似るのかな、とは思いました。

――REエンジンも進化して、できることが加速度的に増えているかと思うのですが、逆に増えるがゆえに苦労されているところもあるのでは?

伊津野いや、これがですね、もっとできないのかという感じで、機能を追加してくれ、人を追加してくれといった状態になってしまって(笑)。むしろ制作側の要求の高さに苦労するといいますか。

平林エンジン制作チームとは、まずタイトルがあり、そのタイトルに何が必要なのかというコミュニケーションから準備をしてもらう形になっていて、とてもいい連携が取れている印象です。

 いまですと、こちらが「これが欲しい」というと、「でもあっちも欲しいんでしょ?」と返してきて、「あ、そうなんです!」といった感じで。こちらが欲しいものを向こうが先に察知することがほとんどになってきていますね。

ポーンは“自分の隣でアドバイスする友だち”。より進化を遂げたゲームシステム

――本作は、大まかにはどのようなストーリーになるのでしょうか? 前作とはどんな関係性やつながりがあるのかもお聞かせください。

伊津野同じ『ドラゴンズドグマ』の設定の中の、別の並行世界でのお話になっています。序盤の流れとしては、まず主人公がドラゴンに心臓を取られ、記憶も失った状態で奴隷として目覚めることになります。

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平林それとは別に、舞台となる国が、代々覚者が王になるという慣習があります。王になる物語の主人公として英雄譚を紡いでいく……というのが大きな流れになります。

伊津野ファンの皆さんが気になるであろう、覚者としての宿命も前作と同じく存在します。つまり、奪われた心臓をドラゴンから取り返しにいくことと、国の王になることのふたつが並行して進んでいく形になります。

――本作は前作の約4倍ほどの広さの世界になるとのことですし、とんでもない規模の冒険になりそうですね。

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伊津野厳密に測っているわけではないんですけどね(笑)。4倍くらい、ですね。ただ、単純な広さだけの話ではなくて、“遊びの密度”も含めた4倍なんですよ。

平林そこはしっかり伝えていきたいところですね。このゲームは決して広さで勝負をしているわけではないので、体験できることの密度のほうが重要なんです。

伊津野広さだけならここに砂漠を、みたいに広げられますが、そういうことはせずに、退屈になる時間がなるべく少なくなるように意識して作っています。

――没入感の強い体験ができそうですね。寄り道要素も多々ありそうで楽しみです。

伊津野今回は強い誘導を入れていないので、気ままに楽しんでもらえるかなと。

平林RPGの楽しみかたとしては、自分のペースで気ままに旅をするタイプと、ストーリー中心に進めるタイプに分かれると思うのですが、本作は前者。プレイヤーの皆さんが、自分だけの旅を楽しんでもらえるような作りにしています。

伊津野やりたいことをやっていれば、自然とストーリーも進みますよ、みたいな感じですね。

――試遊していたときに、ポーンが先行して誘導してくれる場面がありました。

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伊津野ゲームで遊んでいる人が何かしらで詰まったとき……たとえば特定のボスが倒せないとか、ギミックが解けないとか。そういうとき、“楽しみを奪わないさじ加減でヒントを出す、すでにそのゲームをプレイ済みの友人”というのを今回のポーンに設定しています。

 ギリギリいい感じになっているんですよ。目的地までの道順もハッキリ教えちゃうんじゃなくて「多分こっちですよ」みたいな(笑)。

――確かに、ポーンの言動は、横で友だちがしゃべっているかのような感覚に近いですね。

伊津野ポーンが示す方向とは逆に進むと、「今回はそっちへ行かないんですね」的なセリフをしゃべります。「絶対にこっちへ行きましょう!」とは言わないんです。

平林ソロプレイでありながらも、誰かといっしょにゲームを楽しんでいるような感覚というのは、いろんなアプローチの仕方から前作が目指していたところでもあるんですよ。今回はそれをより強くしましょう、というのがチーム全体での課題でもあります。

 ここでポイントなのが“義務を課さない”点です。そこを強くすると、ゲームプレイにどうしてもやらされ感が強くなってしまいますから。だから“いい感じに”というのが重要になってくるわけです。

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――全部誘導されて一本道で進んでしまうと、オープンワールド感がなくなってしまいそうですからね。

伊津野そうなんです。今回は誘導線の類いを出さないというのを大きな課題としています。それらを全部、ポーンのアクションやセリフ、NPCの簡易的な誘導だけでやりましょうと。ここはとくにがんばりました。

 マーカーもあるにはあるのですが、主人公がそのタイミングでは知り得ない情報をマーカーでは見せないようにしています。マーカー自体も、ゲーム中すでに仕入れた情報を忘れてしまった人のために印を付けてあげるくらいの機能になっています。備忘録的な。

――本当に自由に、自分だけの旅を楽しめると。いろいろな意味で重要な位置付けであろうポーンですが、前作から変えた部分、あるいはここは残している、という部分はありますか?

伊津野前作から残しつつさらに強化した要素として、性格ごとの行動や言動があります。性格ごとに喋る内容や口調が違いますし、声優さんもそれぞれ別の方を起用しています。

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 また、性格ごとの行動も味付けをかなり濃くしていて、自分に合う性格のポーンとの冒険が一層楽しめるように、相当な時間と手間をかけていますね。

――おお。これはポーンの育成やコミュニケーションにも熱が入りますね。

伊津野楽しんでもらえると思います。今回、プレイヤーがゲーム中に面倒に感じそうだな、という部分は全部ポーンにやらせようという方針もありまして。さまざまな要素をポーンに入れ込んでいますね。

平林ポーン自体が持っている、プレイヤーが必要とするであろう情報量が、前作とは全然違いますね。前作も結構多かったのですが、その差は歴然です。

伊津野ポーンがほかのプレイヤーの世界で経験したことを、全部バラバラに細かくオンオフしながら組み合わせているので、そのパターン数は膨大です。

 ポーンのキーワードとしてあるのが、“親の顔が見たい”。ポーンに、親の顔が見たいと思えるような行動をさせましょうと。ポーンと旅をしているんだけど、そのポーンを作った世界の誰かの気持ちや方針が伝わるような要素を、これでもかと詰め込みました。

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――ジョブについてはどうでしょう? 今回の試遊版では3つのジョブが選択できましたが。

伊津野ファイター、アーチャー、シーフですね。試遊版ではメインポーンをメイジのジョブに就かせていて、その4種が、初期に選択できるジョブになります。その後は、ストーリーの進行などに合わせて徐々に増えていったりします。

 新ジョブに関しては“魔剣士”なども用意しています。それらのジョブへの転職方法も、これまでのシリーズとは少々異なるので、そこも楽しみにしていてもらえればと。

平林魔剣士は、両刃になっている武器を使って戦うジョブですね。

伊津野“デュアルブレード”と呼ばれる武器で、長刀のように振り回して使用します。右手で武器、左手で魔力を飛ばして攻撃できます。

平林吹き飛ばしたり、魔物を持ち上げて投げつけたりと、非常にテクニカルで近距離中距離どちらでもいけるオールラウンダーです。

伊津野『デビル メイ クライ 5』のプレイヤーキャラクター担当ががんばって制作中です。

――スタイリッシュな感じなんですね。

平林触り心地は最高だと思いますよ。そして前作から、人気のある“マジックアーチャー”も続投で登場します。

伊津野マジックアーチャーはファンの方がものすごく多いんですよ。ガチガチのアクション戦闘をあまり好まないユーザーからのリクエストが多くて。外してはいけないなと。

平林いまご紹介したジョブは、ふたつとも覚者専用になります。前作同様、ポーンにも転職可能なジョブ、覚者専用のジョブとが用意されています。

――そのふたつ以外にも新ジョブが……?

伊津野もちろんあります。ぜひ楽しみにしていてください。

――なるほど、楽しみにしています。続いてプレイヤーが行えるアクションについてですが、とくにユーザーに見て欲しいところはありますか?

伊津野大型の魔物に対して、しがみついて上れるじゃないですか。本作ではなんと魔物の上で立てるんですよ。

――手を離して、立った状態になれるということですか?

伊津野そうなります。「それってわりとふつうでは?」と思うかもしれませんが、ゲーム的には結構すごいことなんですよ。カスタムスキルなど、立っている状態で使える技を全部使えますし、立っているあいだはスタミナが回復するんです。

――ああ、なるほど! しがみつき中に休んでスタミナを回復できると。

伊津野そうです。ということは、前作ではできなかったアレやコレができるな……と妄想が膨らむ方もいらっしゃると思います。ただ、立っている状態だと不安定で下に落ちやすいので、そこは注意が必要です。

平林技術的な問題があって、前作では不可能でしたからね。

伊津野今回はその辺の制約がクリアになりましたので、しがみつき関連のアクションを活用して楽しんで欲しいです。

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 『ドラゴンズドグマ』としての色合いを残しながら、さまざまな、そして大幅な進化を遂げている『ドラゴンズドグマ 2』。無限大の可能性を秘めた、待望の正統続編の登場するその日を楽しみに待とう。

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