2015年に発売された『ダイイングライト』は、数あるゾンビパニックゲームの中でも傑作と名高い一人称視点のアクションゲーム。軽快なアクションと、手強い感染者(ゾンビ)や人間との戦いが楽しめる点が魅力だ。

 全世界で2000万人以上にプレイされた同作が、『ダイイングライト プラチナエディション』として2022年1月13日にNintendo Switchで発売される。他機種版で発売されたダウンロードコンテンツがすべて含まれており、そのプレイボリュームはかなりのもの。長時間遊べる手強いアクションゲームを探している人にはピッタリだ。

『ダイイングライト プラチナエディション』レビュー。パルクールによる爽快感抜群のアクションと、“自由さ”と“不自由さ”が楽しめるゲーム内容が魅力!
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『ダイイングライト』のあらすじ

 ゾンビ化ウイルスが蔓延する都市“ハラン”を舞台に、主人公カイル・クレインの活躍を描く本作。カイルはGRE(世界救済活動会)のエージェントで、ウイルスの治療法などが記されたデータを手に入れるためにハランを訪れたが、道中で感染者に腕を噛まれ、ウイルスに感染してしまう。

 その後、“タワー”と呼ばれるビルを拠点とするグループに協力しながら、本来の目的であるデータ回収の任務を遂行していくことになる。

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圧倒的に自由なカイルのアクション

 本作の最大の特徴は、パルクールを活用して行う自由度の高いアクションの存在だ。

 パルクールとは、人間の体を最大限に活用して、本来は進めないような場所を軽々と移動するスポーツのこと。高い身体能力を持つカイルは、このパルクールを使いこなして街を駆ける。

 本作では、大量の感染者が徘徊しているため、地上を進んでいくのはかなり危険。しかし、大多数の感染者は動きが鈍重なため、壁を上るといった行動はできない。そのため、屋根などの高所を経路として進めば、安全に移動できるのだ。

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 本作では、目に見える部分にはほぼすべて上ることができる。移動中に障害物にぶつかっても、ジャンプで飛び越したり場所によってはよじ登って移動を続けられるため、そのアクション性はスピーディーかつ爽快。これらの操作はRボタンひとつで行えるので、非常に簡単なこともポイントだ。少し慣れれば、自由度の高い本作独自のアクションを楽しめるだろう。

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このような壁でも、カイルは簡単に上ることができる。ゲームに慣れれば上れる場所と上れない場所の判断がつくようになるので、さらにスピーディーなアクションが行えるようになる。

『ダイイングライト』のバトルは接近戦がカギ!

 ハランの市民たちはウィルスによる影響で文化的な暮らしが営めず、残された物品を探し集めることでなんとか食いつなぐようなありさまだ。

 そんな切迫した状況のため、重火器を始めとする近代的な武器は手に入りにくい。従って、とくにゲームの序盤は、おもに鈍器や刃物といった原始的な武器を使って感染者と戦うことを強いられる。

 さらに、本作の武器には耐久力が存在し、一定回数使用すると壊れ、本来の性能を発揮できなくなってしまう。また、壊れた武器は金属パーツを使って修理できるのだが、修理できる回数には限りがある。

 こう聞くと武器を大事に使いたくなるかもしれないが、必ずしもその必要はない。性能がそこそこの武器はゴミ捨て場などから拾うことができるし、人間の敵を倒すと中程度の性能の武器を落とすこともある。ゲームが進むにつれて得られる武器の性能が上がることもあり、武器は気軽に乗り換えていい。

 ただし、戦闘が連続するシーンでは、使える武器がなくなるケースも。そういったクエストには事前に修理用のパーツを用意したり、武器を複数本持っておいたりするといいだろう。

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 ゲーム中盤になると、重火器を扱う人間が登場する。彼らを倒すことで、重火器を手に入れられる。

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 重火器は本作に登場する武器の中でも群を抜いて強力で、ゲーム性が一変するように感じるかもしれない。敵に近づかなくても攻撃が可能になるため、「もう武器は全部これでいいじゃん」と思うかもしれないが、ことはそう単純ではない。

 当たり前だが、重火器を撃つには、銃弾が必要になる。この銃弾は地面から拾えることは少なく、ショップで購入したり、倒した人間から拾い集めたりして入手することになるため、非常に貴重。際限なく所持できるわけでないので、何も考えずに連射すると、すぐに弾切れを起こすだろう。

 さらに、重火器を使用すると大きな音を発することになる。そうなると厄介なのが、人間からゾンビに転化したばかりの感染者である“バイラル”だ。彼らは音の発生源に集まるという特性を持つうえに、感染者でありながら壁をよじ登ってカイルを攻撃してくる。重火器で感染者を蹴散らしていると、どんどんバイラルが集まってきて対処できなくなるということが起こり得るわけだ。

 そういった点では、近接武器を使うことにもメリットがある。攻撃力に優れた重火器と静音性が売りの近接武器を、状況に応じて使い分ける必要があるだろう。

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サブマシンガンのほか、ショットガンといった武器も登場。

 また、回復アイテムについても、その扱いはシビアだ。本作にはショップが存在するが、体力を回復するアイテムを購入することはできない。そのため、回復アイテムは拾い集めた素材を組み合わせて作ることになる。

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ゴミ箱やロッカーといった場所を探して、アイテムを収集する。Aボタンを長押しすると“サバイバーセンス”が発動し、調べられる場所がアイコンで表示されるので、探索は意外と楽だ。

 回復アイテムは貴重なので、体力が減るたびに使うような大盤振る舞いをすると、すぐに枯渇する。体力がゼロになると最寄りのセーフエリアで復活できるので、これを見越して回復アイテムを温存するいう戦略も、場合によってはありかもしれない。

 ただし、本作では死亡すると、経験値が一定量減少するというペナルティーを受ける。あまり復活に頼っているとレベルが上がらず強くなれないといった危険もあるので、わざと力尽きるのは最終手段にしたい。

自由な昼に進むか、不自由な夜に進むか

 本作には昼夜の概念が存在。昼と夜で、ハランはその姿を大きく変える。

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 日中は感染者の動きが鈍く、比較的安全に移動することができるだろう。しかし、夜になるとそんな状況は一変。大人しかった感染者たちは凶暴になり、積極的にカイルに襲いかかってくるようになる。視界が悪いため、戦うのも一苦労だ。加えて、夜間にはカイルを執拗に追いかけてくる“ボラタイル”という種類の感染者も出現する。

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 ボラタイルは手強く、かつ移動力に優れるため、非常に逃げにくい。しかも、追跡の最中にどんどんほかの仲間を呼び寄せるため、運悪く見つかると危険だ。一刻も早く、安全なセーフエリアに逃げよう。なお、セーフエリアのベッドで寝ると、時間を経過させられる。

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戦うのは得策ではない。安全なセーフエリア内には追いかけてこないので、最寄りの安全地帯に急げ!
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時間経過を行うと、体力も回復できる。うれしい。

アクションと連動した育成システム

 本作には、おもに“サバイバーランク”、“スピードレベル”、“パワーレベル”という3つのレベルが存在(正確にはやりこみ要素としてもうひとつレベルが存在する)。サバイバーランクは、クエストをクリアーするなどして得た経験値が満タンまで溜まると上がる。

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 また、スピードとパワーの経験値は、それぞれ対応したアクションを行うことで獲得できる。スピードは、壁をよじ登るなどのアクションが該当。パワーは、敵を攻撃したり、倒したりすることで経験値を獲得できる。

 これらのレベルを上げることで得られるポイントを使用し、スキルを解放してカイルを強化するのだ。

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 なお、これらのレベルのうち、スピードとパワーは、夜間の獲得経験値が2倍になる。すなわち、カイルを育成するなら夜間に行動したほうがお得なのだ。とくにスピードレベルは敵と戦う必要がないため、ボラタイルに見つからないように移動をくり返しているだけで、どんどん経験値が溜まる。パワーの経験値を溜めたい場合は、セーフエリアの近くに陣取り、通常の感染者(バイター)だけを狙って倒すと効率がいい。

 また、セーフエリア外で朝を迎えると、サバイバーランクの経験値も獲得できる。こういったメリットが目白押しなため、ベテランのプレイヤーであれば、夜間は逆にチャンスと言える。夜に出歩きまくるカイルは、ほかの生存者たちから「あいつ、わざわざ夜に出かけていくんだよ。やべえよ」と思われているかもしれない。

 カイルを強くするために夜間に行動したい、でも見つかるとヤバい。そんなジレンマこそが、『ダイイングライト』というゲームのキモだ。

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夜の時間が過ぎて経験値を獲得したときの爽快感は格別。ひとっ風呂浴びた時と同じくらい。

“自由さ”と“不自由さ”の融合が魅力的なゲームを作り出す

 ここまでにご紹介したように、『ダイイングライト』は、さまざまな“自由さ”と“不自由さ”が複雑に絡み合ったゲームシステムとなっている。

 どんなところも足場にして歩ける本作ならではのシステムのおかげで、プレイヤーは圧倒的に自由なアクションを楽しむことができる。

 武器システムの不自由な点もただのストレスではなく、どうしたら不自由さを乗り越えられるのかを考えさせるようなエッセンスになっているし、昼夜システムは、不自由さを乗り越えた先にご褒美が用意されている。不自由さすらも楽しみに変える、優れたゲームシステムだと感じた。

 ゲームの難度は若干難しめに感じるが、アクションが得意な人であれば、寄り道せずにメインストーリーだけを集中して進めても何とかクリアーできるだろう。また、アクションが多少苦手であっても、カイル自身や武器を強化することで難所を突破しやすくなるというRPG的な要素もあり、バランスは取れている。行き詰まったら広大なハランを冒険し、さまざまな場所に隠されたアイテムを探し出すなどして、カイルを強化してみよう。それでも難しい場合は、スタートメニューから難易度を変更するのもありだ。

  歯ごたえのあるアクションゲームを探している人に、とくにおすすめな本作。圧倒的な自由さと不自由さの調和から生まれるカタルシスを、ぜひ堪能してほしい。

DLC部分の内容もチェック!

 本作に含まれるDLCは以下の通り。上級者向けのコンテンツも用意されているので、本作を長く楽しめる内容になっている。

The Following (ザ・フォロイング)

 本編のその後が描かれるストーリー。ハランの郊外が舞台となっており、新たな移動手段として乗り物が登場する。

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Hellraid(ヘルレイド)

 本編とは打って変わり、ダークファンタジー風のゲームプレイが楽しめるDLC。プレイすることで、ゲーム本編に持ち込める報酬が獲得できる。

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17種類のスキンパック

 カイルの外見を変更できるスキンパックが、最初から17種類用意されている。また、DLCとして登場した武器の設計図も、最初から持った状態でスタートできる。

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The Bozak Horde(ザ・ボザック・ホード)

 独自のストーリーが展開するサブクエストが楽しめる。

Cuisine & Cargo(食事&貨物チャレンジ)

 ハランにふたつの隔離ゾーンが追加される。

パッケージ版には特典が付属

 本作のパッケージ版は、ダウンロード版と同価格で販売。ただしパッケージ版のみの特典としてサバイバルガイド、ハランのマップが描かれたポスター、ステッカーが同梱される。サバイバルガイドにはゲームプレイのさまざまなアドバイスが書かれており、本作のファンはもちろん、初心者にもおすすめの内容だ。

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『ダイイングライト プラチナエディション』概要

  • ハード:Nintendo Switch
  • 発売日:2022年1月13日
  • 価格:6380円[税込]