時間がたっぷりある夏休みにじっくり遊びたいTHQ Nordicのゲームとして、プレイステーション4、Xbox One、PC（Steam）、Nintendo Switch用ソフト『Kingdoms of Amalur: Re-Reckoning（キングダムズ オブ アマラー：リレコニング）』をレビュー。本作の魅力をご紹介いたします。
本作はプレイステーション3、Xbox 360向けに2012年に発売された『キングダムズ オブ アマラー：レコニング』のリマスター版。オリジナル版のタイトルの“レコニング（Reckoning）”の部分が、リマスター版では頭に“リ”が付いて“リレコニング（Re-Reckoning）”になっている点に注目です。ちょっとややこしいですね。
このリマスター版のリリースには、紆余曲折がありました。じつはオリジナル版を手掛けた開発会社の38 Studiosは、2012年に倒産しているのです。これによりシリーズを販売する権利が宙に浮いてしまっていたものを、THQ Nordicが購入。THQ Nordicのこの英断がなければ、本作は二度と販売されない“幻のゲーム”になっていたかもしれない、ということなのです。
筆者は本作をリマスター版で初めてプレイしたのですが、THQ Nordicが権利を買い取ったのも納得の、幻に終わってしまうにはもったいない良作だと感じました。リマスターに伴うグラフィックの向上も見事なもので、いまプレイしても、しっかりとファンタジー世界での冒険へと没入させてくれます。
このレビューを読めば、『キングダムズ オブ アマラー：リレコニング』がどんなゲームファンにおすすめの作品なのか分かるはず。購入を検討している方に、参考にしていただければ幸いです。
※本記事は、THQ Nordic Japan提供のもとお届けしています。
主人公は死から蘇りし、“運命を持たない者”
物語の舞台は1万年の歴史を持つファンタジー世界“アマラー”。主人公は誰もに“定められた運命”があるこの世界で、唯一運命を持たず、自分で未来を切り開ける存在です。
冒頭で、なんと一度死んでしまっていることが明かされる主人公。しかし、ノームたちが続けてきた研究の成果によって、蘇ることになります。ここで、プレイヤーは主人公のキャラメイクを行うことに。種族や性別、肌の色に髪型、顔のパーツなどを細かに設定できます。
その後、主人公が蘇ったノームの研究所は何者かに襲われて、壊滅してしまいます。ノームたちの研究の最初にして最後の成功例となってしまった主人公は、世界を変えるための旅に出るのでした。
取っ付きやすさと軽快で爽快なアクションで、幅広いゲームファンにおすすめ
“オープンワールドアクションRPG”を謳っている本作。しかし、細長く伸びた地形が多く、移動時にロードを挟む場面も多いので、シームレスにつながった広大な世界を駆け回るような感触は少なめであることは、予め知っておいたほうがよいかもしれません。
その分、目的地への道筋はハッキリしており、ナビゲーションも親切。「どこに行けばいいか分からない」といったことはほとんどないはず。オープンワールド系のゲームにあまり馴染みがない方にも、取っ付きやすい仕上がりになっています。
それでいて、依頼を受けるサブクエストの量やバリエーションは膨大。会話の選択肢も多く、それぞれに作品世界への理解が深められるフレーバーが付与されています。プレイを続ければ続けるほどこの世界への理解度が高まっていくため、知的好奇心を刺激されるところです。
また、同系統のファンタジー系アクションRPGと比較したとき、秀でているのはアクション部分の軽快な操作性。連続攻撃、盾による防御、回避行動のレスポンスが非常に快適で、敵の動作を目視して防御や回避をしてから側面から連続攻撃を叩き込む、といった気持ちのいいプレイを、誰もが楽しめます。
弓矢や魔法といった遠距離攻撃の際、自動で敵をロックオンしてくれるのも快適。ロックオンして放ったはずの攻撃が明後日の方向に飛んでいってしまうゲームもたまにありますが、本作のロックオンは非常に優秀で、しっかり当てたいところに攻撃を飛ばしてくれます。
回復アイテムはいつでも使用でき、全体的な難度は低め。HPも、魔法で消費する“マナ”も、それから弓で放つ矢でさえも、時間経過で回復。このあたりもまた、ストレスフリーな理由のひとつ。難易度はイージー、ノーマル、ハード、ベリーハードの4段階。冒険の途中からでも変更できるので、歯応えがほしければハード、ベリーハードにすればいいし、サクサク進めたい場合はイージーにするのもアリです。
王道をいくハイファンタジー世界で、軽快かつ爽快なアクション。これらの組み合わせにビビッと来たならば、『キングダムズ オブ アマラー：リレコニング』は、いまプレイしてもきっと楽しめるゲームとなっています。
自由度の高い育成要素
育成の自由度も本作の魅力です。レベルが上がるたびにスキルを1ポイント、アビリティを3ポイント与えられ、これを振り分けてアビリティを習得・強化することができます。
スキルは非戦闘系のものが充実。宝箱を開けるとき、2種類あるミニゲームのいずれかに挑戦させられる場合があるのですが、鍵の掛かった宝箱なら“解錠”、呪われた宝箱なら“解呪”のスキルを上げれば、ミニゲームの難度を下げることができます。素材の調合が可能になる“錬金術”や、武器や防具の修理・製作が可能になる“鍛冶”、交渉が成功する確率が上がる“説得”なども。
アビリティは大剣などの扱いに優れた“マイト”、ダガーや弓の扱いに優れた“フィネス”、魔法や杖の扱いに優れた“ソーサリー”の3つの属性があり、どの属性のアビリティを習得するかで、得意とする戦い方や、使用できる“特殊攻撃”が変化。いずれかの属性のレベルを一定以上に高めないと装備できない防具もあるので、装備品も育成方針で変わってきます。
防具は同じシリーズで統一することで、通常の効果に加えて“セット効果”を発揮するものも。シリーズ防具をコンプリートし、身にまとったときの喜びは大きいです。
アビリティを多く習得していくと、一部能力に大きな補正が掛かる“ディスティニー”もアンロック。レベルが上がるほどより高度なディスティニーをセットできるので、これも戦闘スタイルの指針になります。
運命を変える大技、“フェイトシフト”で経験値を大量取得！
上記のように、レベルが上がるたびにいくつもの選択が必要となり、ここでの自由度が魅力である本作。しかしこのレベルが、普通にプレイしているとなかなか上がりません。そこで敵との戦闘中に意識すべきなのが“レコニングモード”と、この最中に放てる“フェイトシフト”という攻撃。
画面左上のHPゲージとマナゲージの間にある、紫色のゲージが“フェイトゲージ”。“フェイトゲージ”は敵を倒したり、アビリティによって使用可能になる特殊攻撃をくり出すことで貯まっていきます。これが最大まで貯まると、“レコニングモード”が発動可能に。
“レコニングモード”中は“フェイトゲージ”が時間経過で減少。このあいだになるべく多くの敵を倒し、最後に“フェイトシフト”を叩き込めば、倒した敵に応じた経験値が、大量に獲得できるのです。
“フェイトシフト”発動中は、指定されたボタンの連打で獲得経験値をさらに増やすことが可能。演出もド派手でカッコよく、本作の戦闘の華と言えます。このシステムを使いこなせば育成効率も向上。戦闘がますます有利になっていくという好循環を、プレイヤーの手でつくり出せるのです。
ハマる人はとことんハマれる！ 完全新作DLCにも期待
メインクエストやサブクエストで訪れる街やダンジョンのロケーションも、その地域に住む種族や文化によって大きく変化。それらの世界観を味わいながら、さらに強力な武器や防具を倒した敵や宝箱から手に入れ、これらを活かすためにスキルやアビリティ、ディスティニーを習得。自分だけのビルドを作り上げて、冒険でも、戦闘でも、さらなる高みを目指していく……。
これら各要素の絶妙な噛み合わせによって、『キングダムズ オブ アマラー：リレコニング』はハマる人はとことんハマれるアクションRPGに仕上がっています。
また、2021年後半にはオリジナル版にはなかった完全新作DLC“Fatesworn”も配信予定とのこと。オリジナル版をすでにプレイした方も、リマスター版で新たに紡がれるまったく新しい冒険を、体験してみてはいかがでしょう？
