2019年9月12日~15日(12日、13日はビジネスデイ)、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2019。その最終日、ハムスターブースではさまざまな分野での“世界一”を認定する“ギネス世界記録”の授与式が行われていた。その模様をお届けしよう。
おい……見てるかギネス世界記録……お前を超える逸材がここにいるのだ……!!
2019年9月15日、正午。ハムスターブースの特設ステージにはこれまでにない緊張が走っていた。それもそのはず。ギネス世界記録に認定してもらえるよう、ギネスワールドレコーズジャパン社に申請していた、とあるふたつの“記録”について、その結果がこれから発表されるからである。スタッフがステージのセッティングをしている最中にも、MC役を務める同社の濱田倫社長はどこか落ち着かない様子だった。
その時間は刻一刻と近づいていた。
準備が整い、いよいよ授与式が始まる。もちろん、認定されなかった場合は授与式ではなく反省会になってしまうので、気が気ではない。濱田氏とともに進行役を務めるゲーム芸人のフジタ氏も、何とか場を盛り上げようとしていた。
今回、ギネス世界記録としてハムスターが申請していたのはふたつあり、そのうちのひとつが“ニンテンドーeショップでゲームタイトルをリリースし続けた最多連続週数”である。2017年3月3日、Nintendo Switch発売とともに同ハード向けに“アケアカNEOGEO”シリーズを5タイトル、リリース開始したのを皮切りに、2019年8月30日に配信した『アーケードアーカイブス ピンボール』に至るまで、なんと131週にわたりニンテンドーeショップにて何らかのタイトルのリリースを続けてきたのだ。
結果発表を前に、まずは連続リリースを始めるきっかけを作ってくれたというSNKの伊藤誠氏が登場し、当時の思い出を振り返る。もともと、アケアカNEOGEOで5タイトルをリリースする際、SNK社で最終チェックを行うことになっていたのだが、待てど暮らせど連絡が来なかったのだという。単に移植といっても、移植先のハードの特性なども異なるため、とくに最初はひと筋縄ではいかず、難航を極めていたのだ。
そんな中、伊藤氏は濱田氏にこう言ったのである「どうせなら毎週出しちゃいなよ(意訳)」と。激励のつもりで言ったようだが、濱田氏には「地獄のような」気分を味わわされる言葉に聞こえたらしい。しかし、その言葉がきっかけで毎週何らかのタイトルをリリースしてみようということになり、それが131週も続いていったのだ(なお、2019年9月12日現在も記録は継続中)。
そして去る2019年8月31日、東京ゲームショウ2019に間に合うタイミングを見計らってギネスワールドレコーズジャパン社にこの記録を申請した、というわけなのである。
記録申請の経緯が明らかになったところで、ついにギネスワールズレコーズジャパン社より派遣された公式認定員、桐村和由氏が壇上へ。なお、記録に関しては日本のギネスワールドレコーズジャパン社だけでなく、イギリスにある本社とも協議して精査されているそうだ。
規定にのっとり、まずは申請された記録と認定に際しての決まりについて説明を行う。そして、最後の資料をハムスター取締役、武藤妙子氏から受け取り、その内容を確認。そしてしばしの沈黙の後、口を開いた。
「ギネス世界記録、認定です!」
沸き上がるスタッフたち。さっそく記念撮影が行われ、アーケードアーカイブス参入メーカーを代表して伊藤氏がお祝いのコメントを行う。多くの人にゲームを楽しんでもらおうとがんばった結果の記録達成、この偉業にソフトメーカーとして貢献できてよかったということ、ユーザーあっての記録でもあるので、これからもユーザーのためにさまざまなゲームを作っていきたいと語っていた。
あの大物クリエイターがギネス世界記録保持者に!
お祝いムードに包まれたステージ上だったが、なんとこれで終わりではなかった。じつは、もうひとつ記録が申請されていたのである。
それは“アーケードアーカイブス『忍者くん魔城の冒険』キャラバンモードの最高スコア”というもの。記録は158680点。しかも、そのスコアを叩きだした世界ランキング1位のプレイヤーが今回来場しているとのこと。
さっそく、そのスゴ腕プレイヤーが壇上に呼び込まれる。
「!!!!!?」
ハムスターファン以外の方は、目を丸くしたことだろう。なんと、そこにいたのはプラチナゲームズの神谷英樹氏なのである。「業界25年、ゲーム作りではなくプレイヤーとして評価されてここに立っているのは感慨深いものがあります」と語っていたが、まさかの偉業達成ということに。
そして再びステージにはギネスワールドレコーズジャパンの桐村氏が登場。改めて神谷氏の記録に対する同社の調査結果を告げる。
「ギネス世界記録、認定です!」
本日2回目の歓喜の瞬間。1984年にアーケード向けに登場した『忍者くん 魔城の冒険』は、神谷氏にとってはゲーム作りを支えてきた教科書のひとつであり、そんなタイトルでギネス世界記録に認定されたという栄誉を胸に、これからもゲーム作りにいそしんでいきたいと決意を語っていた。
なお、神谷氏は自身の作品の中で『ビューティフル ジョー』の移植を希望しているらしい。2003年発売と比較的新しいタイトルではあるが、果たしてハムスターのラインアップに並ぶ日は来るのだろうか……?