エンジニア求人に“ゲームプレイ採用”を導入

 モバイルベンチャーの老舗・ゆめみが、エンジニア採用にあたり、“ゲームプレイ採用”を実施。その採用したタイトルは、Steamで配信中のインディータイトル『Factorio』! さまざまな方法で求人採用にゲームを使用するゲームメーカーは、確かになくはないが、数多くの法人企業の公式アプリやWebサービスを手掛けているゆめみが導入したのはなぜなのか。しかもプレイに際しては、ゆめみからギフトコードが送られてくるので、実質タダとなる。この斬新極まりない“ゲームプレイ採用”について、導入した目的や意図を、担当者に直接聞いてきた。

2020年に創業20年を迎える老舗ベンチャー、“ゆめみ”とは?

 2019年度に20周年を迎えるゆめみは、スマートフォンやWeb用のアプリ、クラウドシステムの企画・開発・制作・運用を手掛けている。ゲーム系では、Wii U、ニンテンドー3DSの画像投稿ツールの開発や保守などがあり、ほかに日本マクドナルドやビックカメラグループなど、クライアントは多岐に渡っている。ユニークな制度も多く、取材当日は“野菜支給制度”により、スタッフに新鮮な野菜が配られていた。

『Factorio』がプレイできれば、プログラムのセンスあり!

  “ゲームプレイ採用”とは、ゲームをプレイした感想やスクリーンショットを提出し、その内容を社内メンバーで選考の結果、一次面接を通過できるというもの。今回、ゆめみがそのお題として指定したのが『Factorio』。週刊ファミ通2016年4月7日号掲載の“とっておきインディー”で紹介したこともある同作は、チェコにあるインディーデベロッパーのWube SoftwareがSteamにて配信中の、惑星に工場を作っていくリアルタイムストラテジーゲーム。プレイヤーが自由に介入可能で、工夫できることが多く、それこそ延々とプレイし続けられる。それだけに、漠然とプレイしているだけではらちが明かず、効率化を考えることが非常に重要となってくるわけだ。“ゲームプレイ採用”を提案したのは、ゆめみの創業当時からプログラマーとして第一線で活躍している仲川樽八氏(マーケティングソリューション事業部 テクノロジーリーダー)。以前からエンジニアを採用するにあたり、現場からの意見を求められたところ、応募者のソースコードを見ただけでは足りないと感じた仲川氏。というのも、プログラマーやエンジニアには独特のセンスや素質が必要で、「プログラムコードひとつだけを見ても、すぐに書けたコードなのか、2〜3年勉強したうえでの結果なのかが判断できない」という。そんな中、仲川氏は個人的に『Factorio』にハマっていて、「このゲームをプレイするためにはプログラマーとしてのセンスが必要なはず!」と感じていたそうだ。そこで、社内のエンジニア仲間に話したところ、おもしろいゲームだという意見が多く、『Factorio』を使った“ゲームプレイ採用”を思いついた。

★仲川氏による提案書
https://speakerdeck.com/taruhachi/factoriowopureisitajie-guo-woenziniacai-yong-shi-yan-nibian-eyoutoiushi-mi

 一方、人事サイドの総務人事部・大西智子氏は、ゲームを採用に使用することについて、「おもしろいアイデアだなと。ただ、自分にはこのゲームは難しそうでできないと思いました」と振り返る。ちなみに、仲川氏が社内向けに“ゲームプレイ採用”のプレゼンを行ったのは昨年7月ごろ。実施することが決まり、準備を始めると、つぎの難問が発生した。開発元にメールで連絡を取ったところ、最初は日本語でメールを送ってしまったため意図が伝わらず、営業かと勘違いされたそうだ。しかしその後、何度かやり取りをするにつれて先方の誤解も解け、最終的には「そういうことなら、遠慮なく使ってほしい」と快諾してくれた。また、今回は応募に際し、ソフトの購入代金をゆめみ側が負担することになったのだが、同社代表の片岡俊行氏からも「おもしろそうだから、どんどんやってくれ」とお墨付きをもらったという。

ゲームプレイでエンジニア採用!? 老舗モバイルベンチャー“ゆめみ”が求人募集に都市育成ゲーム『Factorio』を使った理由_01
今回の“ゲームプレイ採用”を考案した仲川樽八氏(写真左)。採用担当の大西智子氏(写真右)とともにインタビューに答えてくれた。

 昨年11月に募集を開始し、現在までに200名近い応募があったそうだが、ゆめみ側が代金を負担する=応募者にギフトコードを送るという段階でも問題が発生。一度に大量のコードを送ることが、Steam側から“怪しい動き”とみなされたようで、一時的停止の措置が取られてしまったのだが、これもきちんと説明し、納得してもらった。現在まで、応募者の中から実際に合格レベルに達したのは5人ほどで、そのうちふたりとは面接を行い、採用を前提に研修などを行っているそうだ。仲川氏は「いずれも異業種からプログラマーへの転職となるので、その方の人生を左右してしまうかもしれないと思うと、責任も感じています。ただ、『Factorio』をおもしろいと感じているセンスの人となら、きっと終電まで居酒屋で語り尽くせるような、共通の感性があると思っています(笑)」と語ってくれた。
 ちなみにこの“ゲームプレイ採用”は、いまのところ締切などの期限はとくに設けていないとのこと。プログラマーやエンジニアといった職種に興味があれば、いまからでも遅くないので、一度チャレンジしてみるのもいいかも!?

ゲームプレイでエンジニア採用!? 老舗モバイルベンチャー“ゆめみ”が求人募集に都市育成ゲーム『Factorio』を使った理由_02

『Factorio』ってどんなゲーム!?

  2016年2月よりSteamで配信中の都市育成ゲーム。宇宙で事故に遭った主人公が、たどり着いたとある未知の惑星から脱出するために、資源を集めて、脱出設備の完成を目指すことが目的となる。じつにさまざまなパーツや設備が作成可能で、それらを組み合わせれば自分だけの工場を作ることができる。いわゆる完成前の“早期アクセスゲーム”だが、非常に完成度が高く、日本語でプレイできるのも魅力。

ゲームプレイでエンジニア採用!? 老舗モバイルベンチャー“ゆめみ”が求人募集に都市育成ゲーム『Factorio』を使った理由_03
資源やパーツを別の工場へと移すなど、本作のキモは“物流”にある。また、惑星にはモンスターが生息し、定期的に工場を襲ってくる。