2018年1月26日(金)に発売が予定されている、カプコンのハンティングアクションゲーム最新作『モンスターハンター:ワールド』(以下、『MH:W』)。2017年10月、カプコン・大阪にて実施された“『MH:W』メディアツアー”では、『MH:W』の試遊と同時に開発陣へのインタビューを敢行した。インタビューに応じていただいたのは、こちらのキーマン3人。

『モンスターハンター:ワールド』プロデューサー……辻本良三氏(文中は辻本

『モンスターハンター:ワールド』エグゼクティブ・ディレクター/アートディレクター……藤岡 要氏(文中は藤岡

『モンスターハンター:ワールド』ディレクター……徳田優也氏(文中は徳田

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辻本良三(つじもとりょうぞう)

カプコン
『モンスターハンター:ワールド』プロデューサー

藤岡 要(ふじおか かなめ)

カプコン
『モンスターハンター:ワールド』エグゼクティブ・ディレクター/アートディレクター

徳田優也(とくだ ゆうや)

カプコン
『モンスターハンター:ワールド』ディレクター

『モンスターハンター:ワールド』クリエイターインタビュー 世界の中へと飛び込んでいくときの、例えようもない“ワクワク感”_01
▲左から、藤岡氏、辻本氏、徳田氏。

すべてがその世界で“生きている”『MH:W』

――実際にプレイしてみると、本作は新しさの中にも、これまでの『MH』らしさがきちんと詰め込まれている内容であると感じます。まずは、改めて『MH:W』の制作コンセプト、方向性についてお聞かせください。

辻本 ひと言で言うなら、やはり“臨場感”ですね。『MH』シリーズは10年以上続いていますが、ナンバリング作品以外でも、テレビアニメなどさまざまな形で展開させてきていただいております。その一方で、ゲーム開発環境や技術なども進化が著しく、表現方法も広がりを見せています。そういった現在の最新技術を使い、『MH』の世界を新たに表現してみたい、作り上げてみたいなと。『MH』の世界は、あたかも“そこにいる”かのような感覚''――臨場感を大事に、こだわりを持って作ってきています。いまの技術であれば、これまでよりも一層モンスターたちが“生きている”感じを、そしてひとりのハンターとして世界の中へ飛び込んでいくワクワク感を味わってもらえるのではないかと考えたのです。

――なるほど。確かにフィールドやモンスターの質感などの作り込みもすごいですが、準備期間も含め、開発にはどれくらいの時間がかかっているのでしょうか?

辻本 大体ですが、3年半くらいですね。『モンスターハンター4G』が終わってからの着手になります。

藤岡 ただ、すぐに作り始めたというわけでもなくて、開発環境の整備やゲームエンジンの検証、さまざまな技術や表現の検証といった準備で、1年くらいの期間を費やしています。

徳田 実作業に入ってからは、わりとスムーズに進めることができました。しかし、そこへいたるまでの準備に、相当な時間がかかってしまいました。

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しっかりと作り上げられ、じっくりと練り込まれた『MH:W』の世界とストーリー

――『MH:W』では、いわゆる“モンハン語(『MH』の世界特有の言語)”に字幕を表示させた状態でのプレイが可能ですが、モンスター名などの固有名詞はきちんとしゃべるようになっていますね。

藤岡 『モンスターハンター ストーリーズ』辺りから、シナリオ量とボイス量がグッと増えてきているので、固有名詞や文法などをある程度意識して(モンハン語の)文章を作らないと、音声を乗せたときの構成が難しくなってしまうんですよ。例えば“調査団”という単語は“○※☆”という言葉にしよう、といった感じであらかじめ決めて文章を作っていくと。

徳田 あとはサウンドが、文章をモンハン語っぽく変換してくれるツールを作ってくれたりしていたので、それが役に立ちました。

――えっ、翻訳ツールということですか? それはスゴい!

藤岡 ええ。当然、変換後にセリフとしてしゃべりやすくアレンジしたり、単語がクリアに聞こえるようなコントロールはしましたが、“元”があるのは正直助かりました。

徳田 今回のテキスト量だと、イチから組み上げていくのは多分ムリだったと思いますよ。

辻本 「ツールで組むしかない!」ってなりましたね(笑)。

――そういう言語が最初からあるかのように、自然に聞こえましたよ。

辻本 声優さんも上手な方々が多くて、そういった面でもかなり助けられました。

徳田 いろいろなことを鑑みると、恐らくいちばんコストがかかっているのがモンハン語なんじゃないかと(笑)。

――それだけ世界観を大事に作られているということですよね。そんな世界で紡がれる、シナリオについてもお聞きしたいです。すでに発表されている、ゾラ・マグダラオスの“古龍渡り”が軸になってくるのでしょうか?

藤岡 定期的に古龍が海を渡る、“古龍渡り”という現象が確認されているんですが、それの調査をするということをきっかけに生まれたのが調査団という組織なんです。その第1期団が海を渡る古龍を追いかけ、到達した場所に新大陸があったと。ここには何かあるんじゃないか、という予想を立てた第1期団は、新大陸に拠点(調査拠点アステラ)を作り、古龍渡りが発生するたびに第2期団、第3期団と人員を送り込んで。そして第5期団ではプレイヤーを含む腕利きのハンターたちを派遣して、本格的に調査を終わらせよう……というのが物語冒頭の流れになります。なぜ、吸い寄せられるかのように古龍が新大陸へ向かうのかなどは、新大陸の生態系に絡んでくる要素なので、実際にプレイする際に、物語を楽しみつつ、新大陸独自の生態系も感じてもらえるとうれしいですね。シリーズでは初めて各フィールドが親和性を持ってつながっていて、地形や風土が互いに影響し合って成り立っているので、そのあたりにもぜひ注目していただきたいです。

――第5期団が自分たちだとすると、第1期団は相当昔に結成されたということに……?

藤岡 何か作戦を立てるときに場を仕切る総司令がいるのですが、彼が第1期団員です。ほかにも、第1期団にはさまざまな分野のエキスパートたちがそろっている形です。

徳田 第5期団派遣時から換算すると、第1期団が新大陸へ渡ったのが約40年前になりますね。

辻本 第1期団はおじいちゃん、おばあちゃんといえる年代ですね。調査団の中ではレジェンドクラスというか。ものすごく渋いご老人がいらっしゃったりするんですが、みんな個性派ぞろいです(笑)。

藤岡 導蟲(しるべむし)を使ったモンスターへの誘導なども、彼らが長年をかけて培ってきた技術だったりしますから。ホント、すごい人たちなんですよ。

――確かに、あの拠点を作り上げた人々ですし、すごくないわけがないですね。続いてフィールドについてお聞きします。これまでに古代樹の森、大蟻塚の荒地、陸珊瑚の台地といったフィールドが発表されていますが、これらも先ほどお話が出たように、互いに親和性があるということですか?

徳田 古代樹の森の水源になっているところから、大蟻塚の荒地へ水が流れ込んで沼地を形成しているというつながりがあるのですが、陸珊瑚の台地の下には、じつは別のフィールドが存在しています。

――なんと! ちゃんとつながっていたんですね。

徳田 はい。古代樹の森と大蟻塚の荒地の横の関係に対して、こちらは縦の関係というか。陸珊瑚の台地の豊かな生態系が、下にあるフィールドの生態系にも影響を与えているんです。

辻本 徳田君、その情報はそのくらいにしておかないと……。

徳田 おっと、危うく口が滑りそうに(笑)。陸珊瑚の台地以降は、より親和性が高いフィールド構成になっていますので、先ほど藤岡が言ったように、そこに注目しながらゲームを進めるとより楽しんでいただけるかと思います。

辻本 フィールドに関しては、今後も随時情報を出していきますので、続報をお待ちいただければ。

――楽しみにしています。モンスターも、これまでに多くの新顔が発表されましたが、とくに注目してほしい、要チェックのモンスターはいますか?

藤岡 今回、ストーリー的には古龍が中心にありつつ、さまざまな生物の生態系を見ていく、という流れになっているので、やはりゾラ・マグダラオスは体躯の大きさはもちろん、存在感自体も大きなものになっていますね。そしてそういった古龍関係の話に絡んでくるネルギガンテも大きな存在感を持っていますし、この辺の古龍どうしの関係性を楽しみにしていて欲しいかなと。もちろん、ネルギガンテは強大なモンスターとして歯ごたえのある存在にもなっているので、アクションファンのかたはそちらにも注目ですね。

徳田 『MH:W』のモンスターは、各フィールドの特性に適応した生物であるという点を強く意識して造形しています。例えば、パオウルムーやレイギエナなどは、上昇気流が強いという特性を持った陸珊瑚の台地に適した生態のモンスターになっています。そういった土地との関連性を見ながら遊んでもらえると、まさに“生物を見ている”感覚が味わえて楽しいと思います。

藤岡 レイギエナの翼も、複雑な上昇気流をつかむために、1枚にまとめたり、バラバラにして使ったりということをするんですよ。飛行機の翼のようなイメージですが、その土地に合わせてだんだんとそういう生態になっていったという。

――怪獣などではなく、そこでちゃんと“生きている”存在であると。

辻本 そうですね。モンスターたちを、その世界で“生きている”ものとしてしっかりと描こうというのは、『MH:W』の企画当初から変わらずに意識している部分でもありますから。ほかにも、たとえばプケプケは、ハンターが利用できるものをプケプケ自身も利用するといった生態を見せます。見たことのないアイテムや自然環境でも、「アイツが使っているものは自分でも使えるんじゃないか」というように学び取っていただけるようなモンスターデザインになっているんです。

藤岡 プケプケは基本的には毒を扱うモンスターなんですが、はじけクルミを食べると、吐き出す毒が周囲に弾けるように、ケムリ草を食べると、その場で滞留するような毒を吐くようになったりします。植物が持つ特性を取り込んで、自身の行動に反映させる感じですね。

――実際に試遊したとき、対象モンスターを討伐後に「あ、あの環境を利用すればよかった」と思うことがありました。一度のプレイでモンスターやフィールドのすべてを把握するのは難しいですし、だからこそ何度もくり返しやってみたい気持ちになりますね。

徳田 何回もくり返して遊ぶタイトルではあるのですが、くり返したときに「今度はこれを使ってみよう」という選択肢が自分の中にどんどん提示されていくのが本作のポイントだと思いますね。

藤岡 ボルボロスは泥をまといますが、これまでは攻撃して剥がすしかなかったところを、今回はミズタマリゴケというアイテムをスリンガーにセットして撃つことでも剥がせるようになっています。プレイヤー側が取れる選択肢は、とくに意識して増やしていますので、それを見つけるのも楽しいと思いますよ。

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とにかく遊びやすく、初心者にも優しく! やり込むほどに試したくなるシステム群

――『MH:W』では基本操作回りにしてもショートカットの導入など、従来作よりも遊びやすくなっている印象です。構築するにあたって何か苦労された点はありますか?

徳田 『MH:W』の操作回りに関しては、これまでと同じ手触りを保ったまま、新規ユーザーもとっつきやすく遊びやすいものにしようというコンセプトがあります。ただ、前作までの時点でかなり多くのボタンを使っていて、未経験者にしてみれば複雑な操作方法ですよね。そこへいかに追加するか……という面ではやはり難しくはあったのですが、幸いなことに、制作チームには僕を含めてアクションゲームが大好きな“ゲーマー”がそろっていたんです。アイテムのショートカット機能にしても、初期段階ではもっと簡易的なものだったのですが、それを見ていたプログラマーが「徳田さん、“リングショートカット”を仮に作ってみたから、触ってみてくれません?」と。実際に触ってみると、とても使い勝手がいいものになっていて。さまざまな部署のスタッフどうしで意見交換をしつつ、ブラッシュアップをくり返したので、自分としてもいいものになったという実感がありますね。

――とにかく気持ちよく操作できる印象です。フィールドを歩いていても、立ち止まらずにいろいろなことができますし。

徳田 動きを止めずに、シームレスなアクションが楽しめるのも本作の大きな特徴であると考えています。『MH:W』のフィールドは“密度の高さ”をコンセプトのひとつにしていますので、かなりの高低差があったり、入り組んだ地形にしたりしているのですが、そういった場所でもストレスなく歩き回れる設計にしています。例えば傾斜があれば勢いよく滑り降りていけますし、アイテムの採集も移動しながら行えたりとか。初めて訪れるフィールドでも、とても気持ちよく動けると思いますよ。

――ハンターの動きといえば、武器についても気になります。各武器には新技なども増えていたりしますが、バランス調整などでとくに気を付けた点はどこでしょうか。

徳田 『MH』の武器種は、大剣なら動きが遅いけど一発が重い、双剣なら素早く手数が多いといったように、各武器にしっかりとしたコンセプトがあります。新技の追加やバランス調整時は、そういった武器のコンセプトがより強化されるものを採用し、逆にずれてしまうものは採用しないようにしています。ですから、意図的に特定の武器を強く、使いやすくしようといったこともありませんからご安心ください。

――初心者ならこれ、という決まりみたいなものはなくて、好きなものを選んで大丈夫だと。

徳田 そうですね。ただ、人によって好みは千差万別ですから、自分好みのものを探しやすい設計にすることも大事だろうと。本作でいえば、武器を選んだときに動画で武器の特徴がわかるようになっていますし、トレーニングエリアで自由に操作感を試すことができたりもします。

――武器のチュートリアルで流れる動画は便利ですね。どんな特色を持つ武器なのかがわかりやすくて。

徳田 シリーズ初心者の方が触ったとき、14種も武器があったら、文章だけでは特徴をつかみ切れないだろうなと。トレーニングエリアという試し切りの場もありますが、実際に(武器に)触る前の段階でもう少し情報を増やしてあげようと考えました。

――なるほど、選ぶ楽しみも出てきそうですね。本作では、武器を強化するときに派生表が見られるのもいいと感じました。そこも初心者に優しいというか。

藤岡 今回はとにかくいろいろな武器を試してもらいたいなと。違うルートの武器を試したくなったら、巻き戻しもできますし。これまでは、ひとつのルートを突き詰めて強化することの優先度が高くなる作りだったので、違うルートを試すことがどうしても難しくなってしまうんですよね。そこをもう少し気楽に、気軽に強化を試せるようにしたかったんです。

徳田 強化ルートに先がないような武器は、これまでだとよっぽどの覚悟がないと作りにくかったですよね。今回は巻き戻しがあるので、“現状で作れる最強の武器”を気軽に作れるのが大きいと思います。

――あっちこっちといろいろ試せておもしろそうですね。続いて、ハンターの相棒ともいうべきオトモアイルー関連についても聞かせてください。本作では“テトルー”という新たな獣人族も登場しますが、彼らの活用法というか、付き合いかたを知りたいです。

徳田 テトルーはフィールドごとに部族を形成していて、それぞれで仲よくなるための方法が異なります。それをいかに早く把握するかがカギになりますね。

藤岡 テトルーと仲よくなると、いろいろといいことがあるんですよ。オトモアイルーは“オトモ道具”という特殊技能のようなものを使えるのですが、それを仲良くなったテトルーから教えてもらえたりとか。もちろん部族によって異なる道具の扱いを教えてもらえます。また、小型モンスターを仲間にできる“オトモダチ”関連もテトルーから教わりますね。

徳田 一度仲よくなると、狩猟を手伝ってくれるテトルーがフィールドに姿を見せるようになるんですよ。同じ部族のテトルーと探索やクエストをこなすことで、その部族との友好度が上がっていき、さまざまな手助けをしてもらえるようになります。フィールドで見かけた際は、積極的に声をかけるのが仲よくなるポイントですね。

――ほほう! どんどんフ●ンズを作っていけば、狩りも楽になるわけですね。

徳田 はい。オトモアイルーのほうにも新しい遊び要素があって、ギルドカードを交換したハンターのオトモが、フィールドにふらっと現れることがあるんですよ。そのオトモと話すことで、狩猟の手助けをしてもらえます。

辻本 今回はオトモアイルーにテトルー、そしてオトモダチと、シングルプレイ時でも仲間が多い状態で遊べますので、そこもぜひ楽しんでいただきたいですね。

――賑やかで楽しそうです! フィールドといえば、今回はこれまでよりも密度が高くなると同時に広くもなっていますが、探索時のコツのようなものはありますか?

徳田 通常はモンスターがあまり行かないような場所にも、結構隠れているものがあったりします。キャンプを設営できるポイントであったり、テトルーがいたり、NPCの調査員が訪れていたり。本作では、一度訪れたエリアは生態マップで表示されるようになっているので、まだ明かされていない、奥まった場所を意図的に探してもらえると、効率よく、そして楽しく探索ができると思います。

辻本 あとは導蟲の活用ですね。ちょっと怪しいなと思える場所へ来たら、走るスピードを落としてもらえると、導蟲のガイドを見つけやすくなりますから。

藤岡 ダッシュしていると、どうしても目的地にたどり着くという意識が強くなりすぎて、導蟲のガイドに気付きにくいんですよ。とくにアイテムの採集が目的のときは、意識的にダッシュを緩めて、導蟲のガイドに目を凝らしながら探索していただくのがいいんじゃないかと。

徳田 拠点にいる調査団員たちが、さまざまなクエストの依頼をしてくるので、それらを積極的にこなすことでもマップへの理解度が深まりますし、アイテムも集まるのでオススメですね。

――話を聞いていると、早く探索へ向かいたくなります! あと、初めて触ってみてビックリしたのですが、キャラクタークリエイションも恐ろしく細かく設定できるようになっていますね。

藤岡 これまでは、決まったフェイスパターンがあって、肌の色や髪型を変えたり、メイクを入れたり……といったシンプルなものでした。『MH:W』では、高精細かつ高密度な表現ができるようになっているので、(キャラクタークリエイションの部分でも)もっとユーザーさん自身の感情移入度を高めてもらいたいなと。ちょっとしたこだわりではあるんですが、“ユーザーさんが触れる、決められる部分は大事だろう”と考えました。

徳田 「どの程度までやれるようにするか?」というのは、けっこう悩みましたね。

辻本 協議をくり返して、どうせなら細かくどこまでも作り込めるものをということに決まり、さまざまな検証を行ったうえで現在のような形に落ち着きました。

――シワの深さまでいじれるのが凝っていますね。渋いおっさんキャラなども、自分好みに作れそうな。

藤岡 今回シワの深さといった細かいところまでカスタムできるようにしたのは、本作がグローバル展開だからという部分もあるんですよ。日本だけで見ても、アニメっぽい顔が好きな人もいれば、シワが深くディティールの細かい顔が好きな人もいる。それが世界全体になった場合、好みの広がりは計り知れないわけです。その辺を、偏らせずにデザインできるようなやりかたはないだろうか……というところはかなり模索しましたね。今回に関していうと、年齢とは別に、シワの深さ自体をカスタマイズさせるというやりかたで解決しています。

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迫る狩猟解禁日に向けての、開発側からユーザーへのメッセージ

――発売が近づき、ゲームファンの皆さんもやきもきしていることと思います。最後に、彼らへのメッセージをお願いいたします。

徳田 ボリューム面で心配されている方も多くいらっしゃるかと思います。テストプレイではありますが、現状、僕は世界でいちばん『MH:W』を遊んでいる人間のひとりです。これだけ長い時間をかけてプレイし続けても、まだまだ新たなおもしろさや発見あるタイトルに仕上がっています。ゲームが発売されたときには、皆さんといっしょに遊べることを楽しみにしています。

藤岡 スタッフ一同、非常に恵まれた開発環境の中で、これだけ細部まで作り込めた『MH』は初めてです。そこを歩く、何かを使うといった何気ない行動でも、つねにいろいろな、新しい発見がある、素晴らしいゲームに仕上がったという実感があります。発売日まではもう少しお時間をいただくことになりますが、実際に皆さんがプレイされるときは、思い思いに、いろいろな遊びかたで楽しんでもらえたら嬉しいですね。

辻本 今回は最新技術を使うという点で、作り手側としても勉強することが多かったのですが、スタッフ全員が本当に優秀で、コンセプト通りどころか、それ以上の作品になっていると思いますし、今後もそういった内容に関する情報をお伝えしていく予定です。ユーザーの皆様には、『MH:W』をプレイして、「『MH』の世界って、やっぱりワクワクするよね」と感じてもらえると思います。狩猟が解禁されるその日を、心待ちにしていてください。