『PSO2』“アークフェスティバル2016”開催記念インタビュー

 2016年7月でサービス開始から4周年を迎えたセガゲームスの『ファンタシースターオンライン2』(以下、『PSO2』)。2016年は、エピソード4の配信テレビアニメの放送、やプレイステーション4(以下、PS4)版などもあり、2016年5月に国内同時接続者数が過去最高を記録。その後も『ファイナルファンタジーXIV』とのコラボなど、アップデートにより、プレイヤーを楽しませる施策が行われている。

 本記事では、シリーズプロデューサーの酒井智史氏、エピソード4チーフディレクター&プレイステーション4版ディレクターの中村圭介氏、エピソード4ディレクターの濱崎大輝氏に、『PSO2』が4周年を迎えたことに対する感想や今後の展開などをうかがった。

 また、4周年を記念して2016年8月13日に開催されるファンイベント“アークスフェスティバル2016”の見どころも聞いているので、会場に行く人や生放送を観ようと思っている人は要チェックだ!

※濱崎大輝氏の“崎”の漢字は、正しくは山へん+竒になります。

『PSO2』4周年&ファンイベント“アークスフェスティバル2016”開催記念!! 酒井智史氏、中村圭介氏、濱崎大輝氏インタビュー_02
▲『PSO2』シリーズプロデューサー 酒井智史氏(写真中央)、『PSO2』エピソード4 チーフディレクター&PS4版ディレクター 中村圭介氏(写真右)、『PSO2』エピソード4 ディレクター 濱崎大輝氏(写真左)。

『PSO2』正式サービスから4周年を迎えて

――2016年7月4日で『PSO2』の正式サービスから4周年を迎えましたが、いまのお気持ちをお聞かせください。

酒井智史氏(以下、酒井) わりと“あっという間”だったなあという印象ですね。もちろん、4周年までのあいだにいろいろなことがあったとも感じていますが、思っていたより一瞬であったなと(笑)。

――『PSO2』はβテストからプレイしていましたが、たしかに「もう4年経ったの!」という気持ちはありますね。初期キャラクターをクリエイトをしたのがついこの前のような(笑)。

酒井 そう、「もう4年!?」と(笑)。いろいろありながらも、それだけの期間を短く感じるのは、とにかく全力で駆け抜けて、そしてその間ユーザーの皆さんに支えられてきたからだと思います。

――この4年間で、よかったことや悪かったことなど、印象に残っていることはどんなことでしょうか?

中村圭介氏(以下、中村) 悪いことは、やはりハードディスク内のデータ削除の事件です。それから、DDoS攻撃(※複数のマシンからサーバーに負荷をかけて、サービス停止を狙う攻撃)を受けて、約1週間サービスを停止したこと。ユーザーの皆さんにご迷惑とご心配をおかけしてしまい、たいへん申し訳なく思っています。いいところで言いますと、エピソード4やPS4版のサービスを開始したことで、新しいお客様に対して訴求ができたかな、と。また、マターボードや武器強化など、分かりづらかったり不便だったりといった理由でエピソード4からがらりと仕組みを変えた部分がありますが、それらも思ったより受け入れていただけてよかったです。

濱崎大輝氏(以下、濱崎) いいところですが、バランスの立て直しを念頭に進めていたエピソード3が、時間がかかりながらもうまく調整できたのと、後半で実装した【深遠なる闇】が非常に好評だったことでしょうか。そのおかげで、いい流れでエピソード4の開発につなげることができました。ただ、新しいものに変更していく過程で、バランスが悪くなるなど、ご不便をかけてしまった部分もあるので、そこは反省点としてとらえています。

ユーザーと業界が驚いた『ファイナルファンタジーXIV』とのコラボレーション

――ファンタシースター感謝祭2016 決勝会場で発表され話題となった『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)とのコラボですが、配信したオーディン戦の反応はどうですか?

濱崎 クエスト中のオーディンは挙動など、再現度が非常に高いとの声をいただいています。また、『FFXIV』のプレイ経験のありなしに関わらず、オーディンがバリエーションの多い攻撃を持っているので、ボス戦として楽しいと好評なようです。よい反応が多いので、コラボしていただいた『FFXIV』にも還元できた部分があるかな、とほっとしています。

――オーディン登場シーンのデモから戦闘まで、再現度が半端ないですよね。画面を見ていた『FFXIV』の記事担当者も、とても驚いていました(笑)。

中村 オーディンと戦うアクション部分の再現だけでなく、ユーザーインターフェース周りなども再現しようと力を入れました。オーディンが出現する“F.A.T.E.”、つまり『PSO2』で言うEトライアルの演出部分も、『FFXIV』での演出を映像とサウンドで再現した専用の仕様を入れたりなど、『FFXIV』と『PSO2』のどちらのユーザーも楽しめる形にしています。

『PSO2』4周年&ファンイベント“アークスフェスティバル2016”開催記念!! 酒井智史氏、中村圭介氏、濱崎大輝氏インタビュー_03
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――道中のEトライアルで出現した際の頭部に関する演出や、マップの形については『FFXIV』プレイヤーだとニヤリとする作りになっていますよね。あと、意外と難度は低かった気がします。まだ真・斬鉄剣を喰らったことがないんですよね。

中村 それは、いいパーティーメンバーに恵まれているんでしょう(笑)。自分はもう何度か斬られちゃっていますよ。

濱崎 自分も何度かバッサリと……。それなりに高い難度にはしてありますが、『FFXIV』から入ってくるユーザーさんも想定していますので、『PSO2』をがっつりプレイしていないと遊べない、といったところまでにはしていません。

――コラボであるからこそ、みんなが楽しめるお祭りコンテンツにしてあるわけですね。

中村 身内メンバーの固定パーティーで進めると楽にクリアーできると思いますが、十人十色の野良パーティーですと、オーディンが剣を振り上げた瞬間、「倒せるか?」という緊張が走りますよね(笑)。

――コラボクエストの道中のエネミーは、複数のパターンがあるようですが、出現の確率は同じなのですか?

濱崎 これまでのクエストに比べて、ランダムで出現するエネミーが多いですが、いままで同様に“このエネミーに偏らせる”といった仕様にはしていないので、単純に運によるものですね。

――確率の話が出たので、ついでに聞いておきたいのですが、クエスト中のEトライアルも内容はランダムなのでしょうか? 同じものばかり続くことがあるような気がして……。

濱崎 クエストによって発生しやすいEトライアルがいくつか設定されています。その中で通常のEトライアルは比較的均一な確率で、Mr.ボワンなど、レアなEトライアルは出にくいといったものになっています。ただ、フィールドの特定の場所で少し発生しやすいEトライアルが存在する、ということはクエストによってはありえますので、その近くを何度も行き来すると、おのずと同じEトライアルが発生しやすくはなりますね。

中村 ランダムだからこそ同じものが続くこともありますね。しばらくすると、いままで出ていたものがまったく出なくなったりもしますから。

エピソード4の8月から9月にかけての予定

――8月のアップデートで新エリア“ラスベガス”が実装されますが、こちらは現地に取材に行かれたりしたのでしょうか?

中村 していません……。行きたかったです。

――ということは、フィールドをデザインする際には写真などの資料をもとに作った感じなんですね。

酒井 ラスベガス、行きたかったんですけどね。儲かっているから行ってもよかったはず
なんだけどなあ(笑)。

――昨年のアークスキャラバン沖縄ツアーのように、ユーザー参加型ツアーなどの予定は?

酒井 残念ながらないです!(断言)

全員 (笑)

――新フィールド“ラスベガス”の特徴はどんなところなのでしょうか?

中村 街の作り自体は“自分たちの思うラスベガス”を再現しています。東京フィールドが、多くの人がイメージとして思い描く東京といった風景にしたのと同じように、多くの人がイメージするようなラスベガスを作り出している形ですね。ですから、豪華さや煌びやかさなどの表現に力を入れています。

濱崎 ラスベガスは3つのエリアで構成されています。噴水のある有名なホテルのエリアと、ニューヨークっぽい高層ビルが立ち並ぶエリア、昔ながらのラスベガスのアーケードが広がっているエリアと、それぞれで雰囲気が大きく異なります。高低差もあり、それぞれ中高、高、低の形になっていますね。ラスベガスには新しく用意された乗り物のライドロイドで空を移動できますので、エリアによる高低差も楽しんでもらいたいです。

中村 ラスベガスのテーマのひとつに“空の自由移動を活かした遊び”がありましたので、マップの設計にも気を使いました。高さを意識して、ここをこういう感じで飛んだときに気持ちいい、おもしろいといった部分を入れるため、これまでのマップの作りとは考えかたが大きく違って苦労しましたが、楽しかったですね。

――ひとつのエリアが広いとの話をうかがっていますが、これまでのエリアと比べるとどのくらいの大きさになるのでしょうか?

中村 エリアマップの縦幅横幅は、基本的にはこれまでと同じです。ただ、これまでは建物や壁などによって進入できない場所がありましたが、今回は高低差を利用して、ほぼマップ全面に移動が可能になっています。ですから、これまでのエリアより広く感じると思いますよ。

――ラスベガスのクエストは、これまでと同じタイプのものになるのでしょうか?

濱崎 これまでと同じ自由に探索できるフリーフィールドはあります。それ以外は、ラスベガス専用の“ライディングクエスト”になりますね。こちらは、指定時間内にエネミーを倒したりエンブレムを集めたりしてスコアを稼ぐ、スコアアタック形式のクエストで、高いスコアを得れば、いいアイテムが手に入るようになっています。やり込み要素のあるクエストですので、熟練アークスの方は、ぜひ高スコアを狙っていただきたいですね。

――Eトライアルもラスベガス専用のものが用意されているそうですが、これはライディングクエストのみで発生するのでしょうか?

濱崎 フリーフィールドでは、空中に浮かぶ宇宙人のような幻創生物を倒す“幻創の未確認生物を撃退せよ!”が発生します。ライディングクエストでは、この他にレアエネミーが大量に出現する“多数の希少種を討伐せよ!”と、超巨大なUFOを破壊する“幻創浮遊要塞を破壊せよ!”のふたつです。

――新しいペット“シンクロウ”も追加されますが、こちらはどんなペットになりますか?

濱崎 前回実装したヴィオラは、平均的な能力のワンダタイプでしたが、シンクロウはトリムと同じアタッカータイプですね。耐久値が低めですが、プレイヤーのスキルによってDPS(※1秒あたりに与えるダメージ量)を上げられます。大きな特徴は、異なるPAをつないだ後にくり出せる“シンクロウゲキ”で、これを上手く使えば、理論上はトリムスパイラルより高いDPSになりますね。

――シンクロウゲキを出すために必要なPAは順番とかが決まっているのですか?

濱崎 異なるPAをつないでいけば大丈夫です。たとえば、シンクロウダンとシンクロウザンを交互にA→B→A→Bと4回PAを続ければ、シンクロウゲキにつなげます。格闘ゲームのコンボのような決まりはないので安心してください。

――シンクロウが追加されることで、所持できるペットの枠が増えますか? あと所持ペットの順番を入れ替えたりはできないのでしょうか?

濱崎 枠は20体まで拡張されるので、こちらの枠内でやりくりしていただけければと。並び順に関しては、要望はいただいているのですが、システム的に変更が難しいので現状は不可ということでご了承ください。