真横、後ろにも広がる世界

 ソニー・コンピュータエンタテインメントが開発を進めている、VR(仮想現実)対応のヘッドマウントディスプレイ“Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)”。E3会場のMeeting Roomで、このProject Morpheusに触れられる機会を得たので、試遊してきた。

VRの凄み――Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)体験リポート【E3 2015】※写真追加_04

 今回試遊できたのは5タイトルだが、非常に限られた時間だったため、写真がない点はご容赦いただきたい。PVが公開されているタイトルについては、合わせて紹介している。

■Wayword Sky

 さらわれた父親を救うため、ステージ内のギミックを解きながら進んでいく、アクションパズルゲーム。基本的には、フィールドをクリックするとその位置までキャラクターが移動し、特定のオブジェクトに触れるとギミックが動作する。

 キャラクターの進路を確保するために、キョロキョロとステージを見渡してギミックを探していくわけだが、試遊のステージということもあってか、真後ろなど意地悪なところに仕掛けはなく、基本的に前方180度さえ意識していれば、問題なくゲームを進行させることができた。むしろ、すぐ目の前にあるバルブやスイッチを操作したり、キャラクターが遠くに離れることもあるので、“手前と奥”の感覚のほうが重要な感じだ。

■SUPERHYPERCUBE

 四角いブロックと、コンピューターアートのようなグラフィクスで構成された、立体パズル。目の前には四角を組み合わせたブロックがあり、画面にはそれ以外見えない。そこで、頭を少し横に動かすと、奥から穴が空いた壁のようなものが徐々に迫ってきていることがわかる。プレイヤーは目の前のブロックを回転させ、その穴を通過できるように調整する、というもの。これはかなりおもしろかった。こちらも、手前と奥に意識を置いて遊ぶゲームだ。

■The PlayRoom VR (Monster Escape)

VRの凄み――Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)体験リポート【E3 2015】※写真追加_01
VRの凄み――Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)体験リポート【E3 2015】※写真追加_02
VRの凄み――Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)体験リポート【E3 2015】※写真追加_03

 『PlayRoom』に登場するARボットと、怪獣のようなキャラクターが戦うゲーム。これは、ゲーム内容も操作方法もユニーク。いわゆる“非対称型”と言われているシステムで、同じゲーム内で役割が異なる人どうしが対戦する。Project Morpheusを装着した人(1名)は怪獣を操作し、ARボットはDUALSHOCK4を使って4名が操作する。

 最初は、怪獣がARボットを追いかけるフェーズ。Project Morpheusを装着した怪獣役の人は、画面の奥へと自動でスクロールする中で、頭を振って道沿いのビルを壊したり、ヘリコプターを頭突きして壊したりする。ARボットを操作するプレイヤーは、奥に怪獣、手前に向かって逃げているARボットという画面構成になり、空から降ってくるがれきを左右に移動して避けていく。

 ある程度進むと、今度はARボットの反撃フェーズ。ARボット側は地面にあるオブジェクトを怪獣に投げつけ、ダメージを与える。怪獣側は、そのオブジェクトが当たらないように、頭を前後左右に動かして避けなければならない。両方の立場で試遊したが、いずれも怪獣側が負けてしまったので、怪獣側の勝利条件はよくわからなかった。

 しかし、1台のPS4で立場(視点)が違うゲーム画面を映し出せることに驚くとともに、これの応用でいろいろな対戦ゲームが出てきそうな予感がする。

■Impluse Gear

 PlayStation Move シャープシューター(日本では未発売)を使って、エイリアンと銃撃戦を行うFPS(一人称視点シューティング)。基本的には前に進みつつ敵を倒していくが、途中から360度あらゆる方向から敵が出現する。じつにVRらしい、ストレートな作りで、あまりの没入感に体が勝手に動いてしまうほど。ゲームに“真後ろ”という感覚があるのは、本当に新鮮。

■London Heist

VRの凄み――Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)体験リポート【E3 2015】※写真追加_05
▲こちらはGDC 2015で公開されたスクリーンショット。操作系はここから変更されている。

 こちらもPlayStation Moveを使ったFPSタイトル。PlayStation Moveを両手に1本ずつ持ち、左手でエイミングとショット、右手でリロード(マガジンをつかんで、銃にセットする。PlayStation Moveを縦につなげるイメージ)を行う。プレイヤーはクルマの助手席に乗った状態で、目の前に現れる車両やバイクを攻撃。ヘッドショットを狙うより、タイヤを破壊するのが手っ取り早い。こちらは真後ろを気にする必要はないが、強制スクロールかつスピード感があり、頻繁なリロードなど、シューターとしての方向性が異なる。

 5タイトルを通じて感じたのは、やはり360度に広がる世界は圧倒的。画面に真横がある、真後ろが存在する、それだけで本当に新鮮な体験が得られる。ゲーム性などはとりあえずいったん抜きにして、とにかく360度に広がる世界の中心に身を置いてみてほしい。東京ゲームショウなどで触れられる機会があればぜひ!

※ファミ通.com特設サイト“E3 2015 記事まとめ”はこちら