「ファンタジーRPGたるシリーズの原点に立ち返り、この物語が完成しました」

【全文掲載】『テイルズ オブ ゼスティリア』“情熱”を込めた作り手たちからの産地直送メッセージ【その1:シナリオ編】_01

 
 人気RPG『テイルズ オブ』シリーズの生誕20周年を記念するタイトルにして、シリーズの新境地を拓く完全新作『テイルズ オブ ゼスティリア』。当記事では、週刊ファミ通で掲載した開発者たちからの“産地直送”メッセージを全文掲載。まずは、シナリオ担当の山本尚基氏だ。


【全文掲載】『テイルズ オブ ゼスティリア』“情熱”を込めた作り手たちからの産地直送メッセージ【その1:シナリオ編】_02
▲山本尚基氏
(バンダイナムコスタジオ/シナリオ担当)

 
 本作でシナリオを担当しました、バンダイナムコスタジオの山本です。これまでに、『テイルズ オブ ハーツ』や『テイルズ オブ エクシリア』、『エクシリア2』のシナリオに携わりました。

 今回の『ゼスティリア』では、シリーズが生誕20周年を迎える節目ということで、“王道”のおもしろさをひとつのコンセプトにしています。バトルなどのシステム面で新しいことにチャレンジしつつ、シナリオ面では、ファンタジーRPGたる『テイルズ オブ』シリーズの原点に立ち返ろうとしたわけですね。開発チームでじっくりと構想を練り、そして完成したのが、“情熱が世界を照らすRPG”を謳う本作になります。

 人は、自分の生きたいように生きていいんだということ、それを最後まで成し遂げるためには“情熱”が何よりも大切ではないかということ。そんなテーマを体現しているのが、主人公のスレイです。

 スレイは、いわゆる熱血漢ではないのですが、胸の内には強い情熱を秘めており、人の心を汲んで状況をしっかりと見据えることができる、温かくも落ち着きのあるキャラクター。物語が始まった時点で、精神的にはすでにある程度成熟していて、冒険の先々で出会う仲間たちもそれぞれが何らかの想いや信条を抱いています。そんな彼らと冒険をともにして、スレイは小さな答えを積み重ねながら、やがて大きな答えを見つけていく……そんな彼の歩みが、物語のひとつの柱です。

 大きな力を有する“導師”となった彼の冒険は、世界の命運に関わる使命を帯びることになりますが、その使命は彼自身の“やりたいこと”にもつながります。彼が使命に縛られてしまうことを心配するライラを始め、仲間たちと築いていく関係や、仲間の気持ちがわかるからこそ自分らしい答えを出そうとするスレイの成長に、ぜひ注目してください。

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 “王道”という観点では、これまでの『テイルズ オブ』シリーズで物語に深く絡むことがなかった“ドラゴン”も、本作では非常に重要になります。また、これまでにない存在である“天族”も要注目です。天族は、ゲームシステム面で新しい遊びを打ち出すにあたり、システムと物語が密接に絡むように設定を膨らませていった経緯があります。“ふつうの人間には見えない存在”という基本的な設定は早い段階から決まっていたのですが、そこからさらに、ファンタジーRPGらしさを感じてもらえるように詳細を固めていきました。

 これまでのシリーズを振り返ると、中世ヨーロッパ風の世界観に、SF的あるいは科学的な要素が融合している作品もありましたが、その点、『ゼスティリア』はまさしく直球のファンタジーらしい仕上がりです。その一方で、スレイのようにごく一部の人間にしか天族や“憑魔”は見えないので、街の人々から情報を得るといったRPGの基本的なことが本作では難しく、どのようにすればスムーズに遊んでもらえるかを考慮するのがたいへんでしたが(笑)、この世界観ならではのさまざまなイベントを冒険の先々で楽しんでいただければと思います。

 ゲームへの没入度を高めていただく仕組みとして、フィールドを歩いていた操作キャラクターが“そのまま”イベントシーンに移行して会話を始める演出なども、システム面の担当者たちといっしょにこだわりました。従来は、探索シーンからイベントシーンに切り替わるときなどは画面が一瞬暗転していましたが、本作ではテンポよく、きれいにつながります。

 自分が初めてテストプレイをしたとき、演出やシステム面を含め、本作で目指していた手応えをしっかりと感じることができました。王道のおもしろさと新しさがあり、『テイルズ オブ』シリーズらしくもある本作を、心ゆくまで楽しんでいただけたらうれしいです!

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▲本作のボリュームは、台本の厚さで一目瞭然。このほかにバトル関連の台本もあります。

 

『テイルズ オブ ゼスティリア』産地直送メッセージ
 ◆その1:シナリオ編(山本尚基氏)
 ◆その2:バトル編(長谷雄太氏)※後日掲載
 ◆その3:キャラクター&世界編(岩本稔氏)※後日掲載
 ※週刊ファミ通2015年1月29日発売号では、岩本氏によるイラストコラムを掲載!

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