TGS 2014にプレイアブル出展中の『ZODIAC(ゾディアック)』

 Kobojoから2015年発売予定の『ZODIAC(ゾディアック)』(対応ハード未定)。東京ゲームショウで、野島一成氏や崎元仁氏といった、日本のゲームクリエイターが参加していることが明らかになった本作について、その野島氏とゲームディレクター・Bourgeois氏へインタビューを行った。

※関連記事:『ZODIAC(ゾディアック)』に野島一成氏ら日本の豪華クリエイターが参加していることが判明!【TGS 2014

『ZODIAC(ゾディアック)』が目指すのは“ザ・ジャパニーズRPG”!? 野島一成氏にコンセプトをインタビュー【TGS 2014】_01
『ZODIAC(ゾディアック)』が目指すのは“ザ・ジャパニーズRPG”!? 野島一成氏にコンセプトをインタビュー【TGS 2014】_03
▲野島一成氏/シナリオ
データイースト時代には『神宮寺三郎』シリーズなど、スクウェア・エニックス時代には『ファイナルファンタジーVII』や『キングダム ハーツ』シリーズなどのシナリオを手掛けた。その後独立し、ステラヴィスタを設立した。
▲Julien Bourgeois/ゲームディレクター
プロデューサーやディレクターとして、18タイトルをリリース。過去に一年間、日本に滞在した経験もあるという。

仕掛け人は植松伸夫氏だった

--さっそくですが、このプロジェクトの発端から教えてください。
野島一成氏(以下、野島) 最初は、植松(伸夫)さんから「君、仕事ほしいかい?」と言われまして(笑)。フランスからデベロッパーが来日するので、「ちょっと会ってみないか」と言われたのがきっかけですね。
--植松さん経由でKobojoさんと繋がったと?
野島 そうですね。
--では、『ZODIAC(ゾディアック)』が、どういったコンセプトで作られているかを教えてください。
野島 “ゾディアック”という単語を聞くと、星座とか、星占いとか、いろいろなことを思いつくと思うのですが、そういったものがストーリーにも、ゲームシステムにももろもろ関係しています。その世界の中で、僕の好きな愛憎が入り混じった人間関係(笑)がくり広げられます。
--シナリオとゲームシステム、どちらが先だったのですか?
野島 システムですね。最初に12星座を使ったシステムのゲームを作りたいという話がありました。
--ということは、シナリオを作るときにもゲームシステムによる制約があったりしませんか?
野島 きっとこれからたくさん起こると思います(笑)。
--システムとシナリオでつじつまが合わないとか?
野島 そうなったら、僕が譲ると思います(笑)。
--ちなみに、開発は国内ではないわけですよね。
野島 はい。確かスコットランドですよね?
Julien Bourgeois(以下、Julien) “Kobojo”の開発チームの多くはスコットランドにいます。フランスの本社にも数名いて、さらに野島さんたち日本のクリエイターは、日本で仕事をしているという状況です。
--野島さん始め、“ザ・日本RPG”的なスタッフですが、海外とはそれほど頻繁にやり取りをしているわけではないのですね?
野島 いや、いまのところ、どこにいるか知らずに仕事をしています(笑)。直接会うことはほとんどないのですが、僕は夜遅くまで起きていることが多いので、ちょうど起きている時間にメールが届いたりするので、フランスとの時差は感じないんですよ。
--いま、シナリオはどの程度でき上がっているのですか?
野島 まずは入れるべき要素を提案して、それらを組み合わせる方法がいいのかな、と思っている段階です。
--野島さんのシナリオが英訳された英語版も発売されるのですか?
野島 そうですね。今回、自分で思っているほど、英語がわかっていないことに気づきました。
Julien このゲームは、英語・日本語両方の言語で開発しています。我々としては、日本のクリエイターと仕事をしているので、ゲームも日本語にローカライズしたいと強く思っています。単なる外注スタッフとしてお願いしているのではなく、同じ開発チームとして、ゲームの素材をシェアしたり、開発の最新状況をお見せして、フィードバックをいただくなどして、開発を進めています。
--密接にやり取りされているわけですね。
Julien いまの時代、インターネットのおかげで非常に便利です。ただ、日本にも2ヵ月ごとに来て、打ち合わせや進捗情報をシェアしています。
野島 すごくおもしろいですよ。いまはこういうふうに作っているのか、と思ったり(笑)。「こんなふうにしてゲームができていくのか、すごい時代になった」と。
--会社に籠って、みんなで作らなくてもいいわけですね。
野島 僕は昨日まで北海道の実家に帰っていたわけですが、そこでも仕事はできるし、お互いがどこにいても、あまり関係がない時代です。いまはいいけど、ツラいときはイヤになるかもしれませんけどね(笑)。

開発はまだ10%! いよいよ本格的にスタート

--12星座というのは、登場キャラクターに守護星のようなものがあるのですか?
野島 いえ、違いますね。ひとりのキャラクターが、星座を切り換えながら進むことになります。
Julien 基本的に主人公だけが、ZODIAC(ゾディアック)のパワーを使用できるのですが、ほかのキャラクターはできません。
--主人公が特殊な力を持っていて、星座ごとに使えるパワーが異なるわけですね。
Julien はい。
--“マルチプレイヤーRPG”となっていますが、それはそういったスタイルになるのですか?
Julien MMORPGでできる要素は、本作に入れる予定ですが、オンラインで同時にプレイするというスタイルではありません。ソーシャルゲームによくあるように、ほかのプレイヤーのキャラクターの力を借りることになります。ほかには、リアルタイムで発生するイベントなども考えられますね。
--プレイヤーどうしのオンライン対戦はありますか?
Julien いまのところ、考えていません。基本的な考えかたとして、ほかのプレイヤーの力を借りて、協力してゲームを進めます。また、同じ星座を持っているグループなどは、作りやすいのではないでしょうか。
--発表会のプレゼンで、『ファイナルファンタジー』+『ヴァルキリー・プロファイル』+『ドラゴンズ・クラウン』というコンセプトの説明がありましたが、まさにそれにふさわしい雰囲気の世界観ですね。
Julien ゲームとしては、『FF』のような遊びやすさを目指しています。ですから、野島さんといっしょに仕事ができてうれしく思っています。『ヴァルキリー・プロファイル』を尊重しているのは、戦闘時、ひとつのボタンにそれぞれアクションが割り振られているシステムからです。また、『ドラゴンズ・クラウン』は、高品質な2Dアニメーションを表現しているからです。
--確かに夢の共演ですよね。日本のファンが好きそうな内容になりそうです。
野島 自分も、洋ゲーの翻訳のようなノリでシナリオを書いてしまうのですが、そこで「あ、そんなことをする必要はないんだ」ということに気づいて、「何やっているんだろう……」と思うことがありますよ。
--洋ゲーのローカライズにあるような独特の言い回しを、自分で出す必要はないわけですからね。
野島 最初は、無意識のうちにやっていたかもしれないですね。固定観念があったのかもしれません。
Julien 野島さんのシナリオは、海外でも問題なく人気がありますからね。
野島 ありがたいことです。
--現在の開発状況をパーセントで現すとどれくらいですか?
Julien 10%くらいですね。
野島 まだ“序の口”というやつです。
Julien だいたいのシステムが固まりつつあり、これからゲームの本編に取り掛かります。全体のメドがついたかな、という印象です。
--プレゼンを見た印象では、完成が近いのかなと思っていました。
野島 僕も焦りましたよ(笑)。
Julien すぐ開発に入らずに、野島さんや崎元さんといろいろと話してコンセプトを固めて、そのおかげで最初から迷うことなく開発作業に入ることができました。
--野島さんが崎元さんといっしょに仕事をするのは、久々ではないですか?
野島 さっき崎元さんとも話したのですが、多分6、7年ぶりだと思います。ただ、いっしょにやると言ってもお会いすることが、まずないですけどね。
--Kobojoさんは、これまでスマートフォン向けに開発されているので、グッとすぴーとが早くなりそうですね。
Julien ただ今回は、クオリティの高い、豊かな内容のゲームにしたいと思っていますので、開発のスピードを優先するのではなく、できる限りの内容を盛り込んで、みなさんが満足してくれる内容にしたいと思います。とくにこだわっているのは、自分もRPGをプレイしますが、そのなかで感動したゲームというのは、作った開発チームが情熱を持って開発したゲームです。今回も自分なりに情熱を込めて、これから遊んでくれるプレイヤーに対して、そうした思いを伝えることも大事だと思います。
--それでは、最後にひと言ずつメッセージを。
野島 久々に、目いっぱいやれそうな気がしているタイトルなので、期待していてください。ふだんできていないような言いかたになってしまいますが、今回は自由にやらせてもらっていますし、“イケそう”な気がします。
Julien 野島さんを始め、実力派のクリエイターと仕事ができて、本当にうれしく思っています。ユーザーはもちろん、開発に携わっている人たちも満足してくれることが大切なので、精一杯頑張ります!
--ありがとうございました。楽しみにしています!

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