さまざまな試みの意図とは

 低めの価格設定、オンライン対応の“サクセス”、有料アイテムなど、これまでのシリーズ作品にはなかった、数多くの新たな試みが導入されたシリーズ最新作『実況パワフルプロ野球2013』。これらの新たな試みによって、本作がこれまでの『パワプロ』シリーズから、どのように変わるのかが気になるところ。そこで、本作を手掛けるコナミデジタルエンタテインメント ベースボールコンテンツスタジオの森博信プロデューサーに、これらの新たな試みについて話を伺ってみた。

――今回、3980円と価格設定を低めにした理由をお聞かせ下さい。
 来年20周年を迎える『パワプロ』シリーズは、長く遊んでいただいているファンの方がとても多いゲームソフトです。これまでシリーズを支えてくださったファンの皆様への感謝を込めて何かできないか、チームみんなでいろいろ考えた結果、その案のひとつとして「3,980円というサプライズ価格にしよう!」と長い会議の末に決まりました。「その価格なら今年も買うよ」、「久しぶりに買うよ」と、ひとりでも多くのパワプロファン、野球ファンの皆さんに手に取っていただきたい! 今回の『パワプロ』はそういった作品にしたいという一心で頑張らせていただきました。商品を購入する人にはうれしい部分だと思います。今回の価格の発表が皆様に喜んでいただけていれば幸いです。

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▲通常の対戦を始めとして、サクセス、マイライフなどのモードも充実。最初から収録されているサクセスのシナリオは1本だが、無料のダウンロードコンテンツとして、9つの追加シナリオが順次配信される。価格は安いが、ボリュームについては心配ナシ。

――サクセスのシナリオですが、収録されている1本以外を、順次無料で配信する形式にしたのには、どういった狙いがあるのでしょうか?
 ひと言で言うと、“何度遊んでも楽しいサクセス”というものを提供したかったからです。
サクセス各シナリオの登場人物を変えられる“イベントデッキシステム”という仕組みを導入したのもその一環ですが、新しいシナリオが順次配信されることにより、つねに新鮮な気持ちで遊んでいただけると思います。
配信と聞いて、「1回シナリオをクリアーしたら、次のシナリオ配信までサクセスでは何をすればいいの?」と感じた方もいるかもしれません。そのための“イベントデッキシステム”です。セットするキャラクターを組み換え、色々なパターンを試してみることで、同じシナリオでも別のイベントが発生し、能力&育成結果が毎回変わる、という作りになっています。これまでも、同じシナリオをやり込んで“育成を極める”という遊び方がありました。本作では、ひとつのシナリオでの育成バリエーションが多くなっているので、しばらくは1本目のシナリオだけでも遊べると思いますよ。

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▲本作のサクセスは、ダウンロード配信分も含め、すべて“高校野球編”となる。ソフトに収録されている1本目は、“私立パワフル学園”のシナリオだ。

――サクセスでオンライン要素が導入されていますが、いままでのサクセスと比較して、どのような変化が出るのでしょうか?
 ひとつ目の変化は、追加シナリオを無料配信することによって、プレーヤーの皆さんが常に新鮮な気持ちでサクセスを遊べるということです。
 ふたつ目が新しい遊び。オンラインサクセスで育成した選手を持ち寄り、プレーヤー同士でオンライン対戦する“パワチャレ”というモードです。“パワチャレ”モードについてはこれから詳細を発表していきますが、簡単にいえば、他のプレーヤーとの対戦を通じて、選手育成の成果を試したり、比較ができるようになります。他のプレーヤーがどういう育成選手を作っているのか、どういうイベントを発生させているのかも垣間見ることができるようになっています。サクセスでは育成舞台となったシナリオの違いは、もちろん育成結果への違いとなります。参加するプレーヤーすべてに、まずはある程度同じ育成条件(選べるシナリオを揃える)で戦ってもらうことを想定して、各シナリオの配信時期を設定させていただいております。それでも必ず、キャラクターの組み合わせや強化の仕方によって、ひとりひとりで育成結果に差は出ますから。“みんなで楽しむサクセス”という新しい遊びを楽しんでいただければと思います。ちなみに“パワチャレ”のような遊び方については、僕らもちょっと反応が気になっているんです……。
 オンライン対応にしたのは、プレイヤーの声に耳を傾けたいという思惑もあります。もし皆様から「こうだったらもっとおもしろいのに」というご意見があった際に、オンラインならより柔軟に反映させられるんじゃないか、という考えもあるんですよね。今回、“パワチャレ”を始めとしたオンラインモードは、専門チームが継続して運営し、チェックしていきます。例年、『パワプロ』全体としても部分的な“サクセス”としても、ファンの皆様からはいつもきびしくも熱いご意見をいただいており、感謝しております。……が、残念ながらこれまでは、それらを改善して実際のゲーム内に反映できるのは、“次回作”になってしまいました。発売後しばらく経っても、たくさんの方から同じようなご要望がコンスタントに出続けているのを見た時などはいつも歯がゆかったのですが、本作ではお客様に、より長くより楽しく遊んでいただけるよう、運営チームで常に“本作”を改善することができます。よりファンの皆様に満足していただけるよう、発売後も常にプレーヤーの声に耳を傾けていきますから、期待してください。

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▲新しい遊びとされる“パワチャレ”。モードの詳細は、今後の週刊ファミ通およびファミ通.comの記事で公開していくぞ。

――アイテム課金(“ガチャ”でキャラクターを獲得したり、ショップでアイテムを買うなど)の要素は、どの程度選手の育成に影響するのでしょうか?
 アイテム課金せずに従来のサクセスと同じような感じで遊んでいただけるバランスを心がけておりますので、その点はご心配なく遊んでください。たとえば“威圧感”など強力な特殊能力の習得には、課金が必須になるのではという不安があるとしたら、その答えは「ノー」です。もちろんいままで通り習得が難しいことには変わりありませんが(笑)。いままで通りのサクセスとして遊びながら、たとえば「この1週間やり直せたら……」といったような、一部ニーズがありながらこれまでできなかったことに応えるため、有料のアイテムとして用意した次第です。さらに、毎日遊んでいれば、有料アイテムや有料ガチャを引くためのチケットなどを“ログインボーナス”や“ゲーム内キャンペーン”などで誰でも入手できるチャンスがきちんとあります。それでも、それを自分の好きなときに手に入れたいという場合は、課金して購入することもできるという訳です。“ログインボーナス”などはオンラインならではのプレーヤーへのメリットだと思いますが、オンライン要素の導入は、そういった救済的な側面もあります。

――これまでの情報では、サクセスやマイライフなど、全体のボリュームは増加していますよね。それでアイテム課金がメインではないとすると、率直に「この価格で大丈夫なの?」と感じるのですが、そのあたりは大丈夫ですか?
 はい。たくさん買っていただければ、赤字にならずクリアーされると想定して、今年は価格と覚悟を決めました(笑)。とは言え、社内のプレッシャーはこれまで以上にすごかったりしますので……、重ねて言いますが、正直本当により多くの皆様に『パワプロ』を遊んでいただきたいです! そしてもちろん、皆様の期待に応えられるよう、『パワプロ2013』はボリューム満点でおもしろい作品に仕上げることでお返ししますので、10月24日(木)の発売日をお待ちいただいている皆様は、ぜひ期待していてください!

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日本野球機構承認 NPB BIS プロ野球公式記録使用 プロ野球フランチャイズ球場公認 ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2012年プロ野球ペナントシーズン中のデータをもとに制作しています。 (C)Konami Digital Entertainment ※画面は開発中のものです。※ダウンロードコンテンツを含め、本作のオンライン要素はプレイステーション3版とプレイステーション Vita版のみの対応となります。